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SORA Technology株式会社:アフリカの感染症に挑む日系ドローン企業

SORA Technology株式会社:アフリカの感染症に挑む日系ドローン企業

公開日時:

2024/1/8 14:06

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ドローンとAIを用いた「エアモビリティによる社会課題の解決」に挑む日本の企業、SORA Technology株式会社(本社:愛知県)。同社は感染症対策との関係が深く、特に新興国において大きな貢献をしています。ここでは、SORA Tachnology社がどのような会社であるのか、その成り立ちや事業概要について掘り下げてご紹介します。

SORA Technology株式会社とは

ここでは、SORA Technology社がどのような会社なのか、その概要とともにお伝えしていきます。

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SORA Technology社が目指す世界

SORA Technology株式会社は名古屋に本社を置く日本の企業であり、ドローンサービスのスタートアップでのビジネス開拓や宇宙航空研究開発機構(JAXA)でのシステム開発等の職歴を持つ金子洋介氏により2020年に設立されました。
「宙(SORA)から人の生き方に変革を」をスローガンの1つとし、ドローンを中心とした最先端テクノロジーを駆使し、グローバルヘルス分野における社会課題の解決に焦点を当てた事業展開を行っています。

具体的には、ドローンを活用した医療物資の輸送サービスや感染症対策事業、UTM(Unmanned Traffic Management:無人交通管理)システムの導入、データ分析、ドローン運航のための規制やライセンス枠組みの構築など、「エアモビリティ(※1)社会」の発展に精力的に取り組んでいます。

最近では、水資源管理、低炭素技術、ソーラー飛行機の開発などのプロジェクトへも参画し、持続可能な循環型社会の実現を目指しています。

※1 エアモビリティとは、空中移動手段を示すことばで、人や物資を空中で自由に移動できる技術、あるいはサービスを意味します。
※参照URL:SORA Technology
※参照URL:ABOUT US(私たちについて) | SORA Technology 株式会社
※参照URL:PROFILE(会社概要) | SORA Technology 株式会社

SORA Technology社の会社概要

SORA Technology社の会社概要は以下の通りです:

資金調達に関して、SORA Technology社は、設立以来、969,000ドルの資金を獲得しており、ベンチャーキャピタルのDRONE FUND Inc.、MTG Ventures、Rheos Capital Partnersなどが出資しています​。

※参照URL:ABOUT US(私たちについて) | SORA Technology 株式会社
※参照URL:PROFILE(会社概要) | SORA Technology 株式会社
※参照URL:SORA Technology Company Profile 2024: Valuation, Funding & Investors | PitchBook

ここでは、SORA Technology社がどのように感染症対策に取り組んでいるのか、その背景からお伝えします。

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マラリア感染症はなぜ深刻な脅威であるのか

マラリアは、世界中で年間数百万人が感染する深刻な感染症です。特に、熱帯および亜熱帯地域で多くの人々に影響を及ぼしています。マラリアの主な原因は、蚊が媒介するプラスモディウム属の寄生虫であり、現在も世界中で大きな課題になっています。

マラリアの初期症状は、発熱、寒気、頭痛、筋肉痛、疲労などで、インフルエンザに似ていますが、怖いのは発症してからすぐに治療されない場合、深刻な合併症を引き起こし、貧血、黄疸、腎不全、呼吸困難、さらには脳マラリアなどに発展し、死に至るケースも多い点です。

また、子どもや妊婦さんへの影響も大きいことが知られています。特に5歳未満の子どもの死亡率が高いほか、、妊娠中の女性に関しても、早産、低出生体重児、流産、妊婦死亡のリスクが高まることが分かっています。
さらに厄介なことに、マラリアは免疫システムそのものを弱体化させ、他の感染症への抵抗力も低下させてしまいます。これにより、HIV/AIDSなど、他の病気が悪化するリスクが増大します。​ 

健康面だけでなく、医療費の増加、生産性の低下、教育機会の喪失など、個人および地域社会に大きな経済的負担を強いることになり、発展途上国では、マラリアの流行が経済発展や社会の安定に深刻な影響を与えています​。
予防策としては、 蚊帳や殺虫剤の使用、予防薬の服用などが一般的に知られていますが、薬剤耐性のついたマラリア原虫の出現も常に危惧されています。

※参照URL:マラリア対策事業 | SORA Technology 株式会社
※参照URL:Malaria
※参照URL:Malaria | CDC

マラリアに対するSORA Technology社の取り組み

これまでのマラリア対策は、主に蚊帳の利用や殺虫剤の散布といった成虫を対象とする方法が中心でした。しかし、これらの方法は屋内でのマラリア対策には有効ですが、屋外での対策や潜在的な感染リスクの削減には不十分でした。

そのため、近年では、マラリアの幼虫に焦点を当て、幼虫の生息域となる水域を管理する「Larval Source Management(LSM)」という方法が注目されています。しかし、従来のLSM法では、人が目視で水たまりを探し、すべての水たまりに対して防幼虫剤を散布する必要があり、実施コストが高いという課題がありました。

そこで、SORA Technologyが提供する「SORA Malaria Control」では、自社開発の固定翼ドローンによる空撮データとAI技術を組み合わせることにより、マラリア媒介蚊の幼虫が繁殖するリスクの高い水たまりを効率的に発見し管理することを可能としました。

同社の副CEOの梅田氏によれば、「マラリア駆除ではAIを搭載したドローンを使用し、実際にマラリア病原菌を持っている蚊の幼虫が好んで住みやすい水源をAIで見つけだし、のべつまくなしではなく、局所的に防幼虫剤を散布できるため、コストパフォーマンスの良い駆除ができる」と述べています。

※参照URL:【お知らせ】世界最大級のピッチコンテストSupernova Challengeでファイナリストに選出|ドローン×AIでマラリア対策、テックイベント「GITEX Africa | SORA Technology 株式会社
※参照URL:SORA Technology株式会社の会社情報と資金調達 | NIKKEI COMPASS

マラリアだけに留まらないSORA Technology社の感染症対策

SORA Technology社は、マラリア対策以外にも、デング熱と黄熱病など危険性の高い他の感染症対策にも力を入れています。

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マラリア対策で使用されているのと同様のドローンやAI技術を、デング熱や黄熱病のような蚊が媒介する他の感染症対策にも応用し、デング熱や黄熱病を媒介する蚊が繁殖するリスクの高い場所を特定・管理し、これらの病気の蔓延を抑えることに成功しています。

また、SORA Technology社のCOVID-19への対応も見逃せないでしょう。COVID-19パンデミックの際、SORA Technology社は空中モニタリングとデータ収集にドローンとAIの能力を活用し、COVID-19の高頻出リスク地域のマッピングと特定に尽力しました。これにより、効率的で大規模な監視が人の手を使わずして可能となり、被ばくリスクを最小限に抑えました。 

また、SORA Technology社は、カンボジアパスツール研究所(Institut Pasteur du Cambodge)と協力し、より広範な感染症に対するAIソリューションを開発しています。このパートナーシップは、データ分析と予測モデリングを強化し、疾病対策の有効性を向上させることに重点を置いています。

その他、SORA Technology社は、ドローン技術を活用し、遠隔地や手の届きにくい地域への医療物資の配送を促進しています。これにより、医療施設へのアクセスが限られた地域で必要不可欠な医療資源を確保できるようになりました。

※参照URL:他疫病対策への事業展開 | SORA Technology 株式会社
※参照URL:【お知らせ】カンボジア・パスツール研究所(IPC)と感染症対策のAI導入プロジェクトを開始 | SORA Technology 株式会社

まとめ

SORA Technology株式会社は、2020年設立の日本の企業で、ドローンとAIを活用し、グローバルヘルス分野の社会課題の解決を目指しています​。

主要事業には、マラリア等の感染症対策、医薬品配送システムの構築があります。また、法整備やドローン運行管理システム(UTM)、ドローンの導入支援を目的としたパイロットの養成も行っています​​。さらに、エアモビリティの世界的普及に資する法整備などの制度設計やデータアナリティクスの事業展開も進めています​。

SORA Technology社は、新興国での社会実装に力を入れており、そこで培った技術や運用ノウハウを先進国にも展開する「リバースイノベーション」を目指しています。例えば、カンボジアのパスツール研究所と協力し、より広大な感染症対策のプロジェクトを進めています​​。

ライター紹介

増田さなえ |AA Health Dynamics株式会社 グローバルサウスにおける事業開発支援集団 (aa-healthdynamics.com)

お問い合わせ

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Email info@aa-healthdynamics.com

この記事を書いたライター

増田さなえ

米国ピッツバーグ州立大学卒業後、セントマシュー医科大学とウィンザー医科大学に進み医学博士取得、救急医師として、米国やカリブ海の医療に従事する。2014年に出産のため休職し、ウェブライターを始める。2014年からカリブ海の救急医として2019年まで働く。2020年からは米国に戻りウェブライター専門で活動中。

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