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アフリカ発のリバースイノベーションとは?事例と参入時の注意点もご紹介

アフリカ発のリバースイノベーションとは?事例と参入時の注意点もご紹介

公開日時:

2023/12/27 14:28

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ドローンによる物流の拡充や最新技術を用いたトイレなど新たなイノベーションが展開されているアフリカ。その急激な発展には「リバースイノベーション」と呼ばれる、新しいグローバルなビジネスモデルが大きく関係しています。 この記事では、なぜアフリカでリバースイノベーションが活発化しているのか、背景やメリット、そして参入する際の注意点をご紹介します。実際に日本企業のリバースイノベーション事例にも言及しておりますので、アフリカマーケットへの参入をご検討している方は参考にしてみてください。

目次

リバースイノベーションとは

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リバースイノベーションとは、「新興国内で開発されたイノベーションが先進国市場に流通されること」を指します。これまでは先進国のイノベーションを、価格を下げて、新興国に普及するといったプロセスの形が通常とされてきました。しかし、近年では新興国が自ら生み出した技術を実装し、全世界に発信するビジネスモデルが注目されています。


リバースイノベーションが行われる背景

リバースイノベーションが行われる背景には、先進国と新興国のビジネスにおける市場動向と経済の動きが深く関係しています。

・先進国市場の飽和による海外進出

先進国市場の飽和を受け、海外進出を望む先進国の企業が新たな販路として新興国の市場へ参入する、という風潮が背景としてあります。そうなった場合、新規参入する企業は現地企業が市場を独占している状況からのスタートとなり、結果として現地のニーズを把握するために現地でゼロから商品開発するリバースイノベーションを行う必要があったのです。経済的に今後拡大が見込まれる新興国市場のニーズに対応するためにリバースイノベーションを活用した背景があります。

・新たなテクノロジーが受け入れられやすい

新興国では、先進国に比べて生活インフラが脆弱であるケースが多く、その改善策として新たなテクノロジーが受け入れられやすい傾向があります。新しいサービスやテクノロジーに対して、先進国は既存サービスとの摩擦が起こるため法整備が必要な一方で、既得権益による縛りの少ない新興国の方が画期的な発想や技術が生まれやすいのです。


リバースイノベーションのメリット

リバースイノベーションを行うことは、先進国と新興国どちらにとってもメリットがあります。

・新興国のニーズに最適な開発ができる

従来のイノベーションの流れで開発された商品は、あくまで先進国のニーズをベースに作られたものでした。そのため、新興国の人々のニーズに最適な答えを必ずしも出せている訳ではありませんでした。一方で、リバースイノベーションであれば開発段階から新興国のニーズに合った商品を作ることができ、より現地のニーズに沿うことが可能になります。

 

・海外進出に向けた成長戦略につながる

これまでと異なり新興国内での生産となるため輸送費などのコストが削減され、より安価で良質なものを展開することが可能です。現地の消費者市場のシェアを獲得することができれば、企業の海外需要も高まるため、リバースイノベーションは海外進出を検討する企業にとって有効な成長戦略といえます。

・新しい発想や技術を創出することができる

リバースイノベーションによって国内にはない消費者ニーズに気づくことで、新しい発想や技術を生み出すことができます。これまでの商品は自国の消費者のニーズに合わせる前提で生産されていました。自国にはない新しい発想や技術は、国内の競合企業との差別化を生み出すことができます。



リバースイノベーションでアフリカが注目されている理由

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近年、リバースイノベーションを行う上で、開発拠点をアフリカにおく企業も多くあります。結果として、アフリカから最新のテクノロジーが生まれ、新規ビジネスとして他の国々においても活用されています。ではなぜ先進国は、アフリカをリバースイノベーションの拠点にするのでしょうか。

携帯電話の普及率が高い

携帯電話の普及率が高く、モバイル上で行うサービスの活用へのハードルが低いことが一つの要因です。アフリカでは現在、人口およそ80%もの人々に携帯電話が普及しています。労働者として銀行口座を持たずに他国で働く人々が、母国の家族に送金する手段として暗号資産を利用しています。そういった先進国に比べて、サービスの拡充が不足している背景もあり、新しいサービスの浸透度も高いのです。

アフリカ経済としての課題解決策

アフリカの経済的な課題も注目される一つの要因です。現在のアフリカ経済は、資源に依存する形となっています。主要国への輸出品の多くは、石油や天然ガス、鉄鉱石などで価格変動の影響を受けやすく、同時に資源が枯渇すれば将来的な収入が断たれる可能性を持っています。こうした経済状況にあるため、アフリカ諸国全体として新たな収益源の確保が望まれています。



リバースイノベーションにおける注意点

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先進国と新興国どちらにもメリットがあるリバースイノベーションですが、注意すべきこともあります。これまでのグローバル戦略と異なる点が多いため、その分注意点を確認しておきましょう。

グローバルな人事制度を採用する

リバースイノベーションを成し遂げるためには、現地の人材のモチベーションを高く保たなければなりません。日本のような年功序列や終身雇用といった制度は採用せず、成果重視の組織作りを行い、優秀な人材を雇用しましょう。また、リバースイノベーションを行うためには国内からも人材を派遣する必要があります。英語をはじめとする外国語に対応でき、かつ優秀な人材を雇用することが大切です。

新しい発想や技術を取り入れるためにも、日本ではなく現地の考えや文化を受け入れ開発や企画を行いましょう。

価格を下げるために機能性をカットはしない

現地価格に合わせるために商品の機能を減らすことは避けましょう。新興国でビジネス展開をする場合、値段を通常の1/10程度まで下げる必要があるといわれています。商品の機能性を減らせばコスト削減は可能ですが、同時に顧客の満足度が大幅に低下するリスクが発生してしまいます。部品を現地の安価なものに組み替えるといったコストカットする工夫が必要です。

現地の文化や気候を考慮する

現地の文化や気候も商品開発の際には考慮する必要があります。文化はその地域に住む人々にとってのアイデンティティです。日本では売れた商品であ合っても、現地では文化的な背景の問題やニーズがないため、売れないということもありえますおきえます。また、天候も気温や天気が異なれば商品に求められる機能も変わってきます。雨や台風といった自然災害があれば、被害を被ることもあるでしょう。こういった現地の自然条件にも配慮して、商品開発を行うことが求められます。

リバースイノベーション事例

ここからはリバースイノベーションの事例を国内外問わずご紹介します。以下の3つの事例は全て日本との関わりがある事業です。これからアフリカでのビジネス機会を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。

Zipline(ジップライン)

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米国のZiplineは、ルワンダで血液パックや医薬品などのドローン配達サービスを展開しています。主要道路以外の道が未舗装なものが多いルワンダでは、車での交通はおろか歩くことも困難な場所も珍しくないのが現実です。そういった理由からドローンによる物流は現地では重宝されており、現在では1日に平均30回ほど利用されています。サービスを提供しているZiplineは、ルワンダ政府と包括契約を結んでおり、評価額が1000億をこえる企業へと成長しました。

株式会社LIXIL

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株式会社LIXILは、ケニアで水を節約可能な超節水型トイレと循環型無水トイレの2種類を開発しています。水資源の不足はアフリカ全体で問題となっており、またナイロビでは急激な人口の増加が問題になっていますました。そこでLIXILは、洗浄時に水をほとんど使用しないトイレを開発し、今では同じく慢性的な水不足にあるオーストラリアやアメリカでも利用されています。また、日本でも災害時に避難施設の設備として活用されており、2016年には世界の14カ国以上で100万台以上が使用されています。

本田技研工業株式会社

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1958年に本田技研工業株式会社が発売したスーパーカブは、現在でも模倣品が出回るほど世界中で使用されています。そこでホンダは、当時模倣品を製造していた中国会社を買収することで、新たな工場の建設コストを削減しながら生産拠点を国外にうつすことができました。

リバースイノベーションは現地のニーズ調査が大切

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この記事では、活発化するアフリカでのリバースイノベーションについてご紹介しました。最後にご紹介した事例からもわかるように、現地のニーズや文化についても理解する必要があります。そのためにも、日本の本社からの赴任チームではなく、現地の人々を多く採用することがおすすめです。

AA Health Dynamicsでは、アフリカやアジアの国々に向けた伴走型新規事業開発コンサルティングやヘルスケア・ビジネスを展開しております。「新興国への事業進出は興味あるけど、マーケット知識に不安がある」「自社のサービスをグローバルなものにしたい」という方は、ぜひお気軽にお問合せください。
E-mail:info@aa-healthdynamics.com

この記事を書いたライター

増田さなえ

米国ピッツバーグ州立大学卒業後、セントマシュー医科大学とウィンザー医科大学に進み医学博士取得、救急医師として、米国やカリブ海の医療に従事する。2014年に出産のため休職し、ウェブライターを始める。2014年からカリブ海の救急医として2019年まで働く。2020年からは米国に戻りウェブライター専門で活動中。

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