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アフリカの持続可能な開発を支える「アフリカ開発銀行」とは?

アフリカの持続可能な開発を支える「アフリカ開発銀行」とは?

公開日時:

2025/1/23 23:30

アフリカ大陸は、21世紀の世界経済の成長エンジンとなる可能性を秘めています。しかし、急速な成長の裏側には、貧困、不平等、気候変動などの深刻な課題も存在します。これらの課題に取り組み、持続可能な発展を支える鍵となるのが、今回特集する「アフリカ開発銀行(AfDB)」です。本特集では、AfDBの概要、その取り組みや成功を収めたプロジェクトの紹介、そして日本との関わりから未来への展望を掘り下げます。

アフリカ開発銀行(AfDB)の概要

ここでは、アフリカ開発銀行とはどのようなものなのか、その仕組みや成り立ちなどをお伝えします。

アフリカ開発銀行とは

アフリカ開発銀行(AfDB)は、アフリカ諸国の経済的開発および社会的進歩を促進するために設立された国際金融機関であり、非譲許的な条件での融資を提供しています。

アフリカ開発銀行の主な使命は、アフリカ域内加盟国の経済および社会的発展を支援し、単独または他機関と連携してその目標を達成することです。

アフリカ開発銀行によれば、財源は通常財源および特別財源からなり、通常財源では、以下のようになっています。

特別財源は、以下のようになっています。

(※参照URL:アフリカ開発銀行(AfDB)より抜粋)

また、主な構成機関は以下の3つから成り立ち、それぞれが連携してアフリカ諸国の支援や開発に取り組んでいます。

主な構成機関:

  1. アフリカ開発銀行(AfDB): グループの中核組織で、非譲許的な融資を提供しています。

  2. アフリカ開発基金(ADF): 1972年に設立され、低所得国に対してより緩和された条件で融資を行っています。

  3. ナイジェリア信託基金(NTF): 1976年にナイジェリア政府と共同で設立され、特定の開発プロジェクトを支援しています。

※参照URL:https://afdb-org.jp/wp-content/uploads/Factsheet-as-of-Jun-2023_JP.pdf

アフリカ開発銀行(AfDB)の成り立ち

アフリカ開発銀行(AfDB)は1963年8月4日にスーダンのハルツームで設立協定が採択され、1964年9月10日に協定が発効しました。その後、1966年7月1日に正式に業務を開始しました。

AfDBのHPによると、加盟国に関しては2022年12月31日時点で、アフリカの54カ国(域内加盟国)とアフリカ以外の27カ国(域外加盟国)の計81カ国が加盟しています。

資本金においては、2022年12月31日時点での授権資本は2,404億米ドル、引受資本は1,980億米ドル、払込資本は133億米ドルとなっています。

これらの資本金を活かし、AfDBはインフラ整備(例:道路、電力、水道などの基盤施設の開発)、農業と食料安全保障(例:農業生産性の向上と食料供給の安定化)、気候変動対策(例:グリーンエネルギーの推進と環境保護)、または社会開発(例:教育、保健、女性や若者のエンパワーメント)などに積極的に取り組んでいます。

※参照URL:アフリカ開発銀行は創立50周年を迎えました
※参照URL:2022年の概要|アフリカ開発銀行グループ

AfDBの「High 5s」(取り組みとその目標)

アフリカ開発銀行(AfDB)の「High 5s」は、同銀行が掲げる5つの戦略的優先事項を指します。この枠組みは、アフリカ大陸の経済発展と社会的進歩を加速するために設けられ、これらの優先事項は、持続可能な開発目標(SDGs)およびアフリカ連合の「アジェンダ2063」とも連携している目標です。

1. Light up and Power Africa(アフリカに光と電力を)

2. Feed Africa(アフリカに食料を)

3. Industrialize Africa(アフリカを産業化する)

4. Integrate Africa(アフリカを統合する)

5. Improve the Quality of Life for the People of Africa(アフリカの人々の生活の質を向上させる)

※参照URL:https://afdb-org.jp/wp-content/uploads/Factsheet-as-of-Jun-2023_JP.pdf
※参照URL:African Development Bank Group内THE BANK'S TEN-YEAR STRATEGY: THE HIGH 5Sの項目
※参照URL:プロジェクトとオペレーション|アフリカ開発銀行グループ

AfDBの取り組み

ここでは実際に、AfDBがアフリカ諸国に向けてどのような取り組みをしているのか、AfDBの取り組みは多岐に渡るため、簡潔にまとめた内容をお伝えいたします。

1. インフラ開発

AfDBは、アフリカのインフラ整備に注力し、交通、エネルギー、情報通信技術(ICT)、給水・公衆衛生などの分野でプロジェクトを推進しています。

具体的なプロジェクト例:

・ケニア・タンザニア電力相互接続プロジェクト
ケニアとタンザニア間の電力相互接続を強化し、地域全体の電力供給の安定性と効率性を向上させることを目的としています。

・ウガンダ農村部電力アクセス・プロジェクト
ウガンダの農村地域における電力アクセスを拡大し、地域経済の発展と生活水準の向上を図るプロジェクトです。

2. 民間セクター開発

AfDBは、アフリカの民間セクターの成長を支援し、投資環境の改善や中小企業の育成を促進しています。中でもエネルギーや交通などのインフラ分野で、民間企業への投融資を通じてプロジェクトを支援し、経済成長を促進しています。

3. 気候変動対策とグリーン成長

AfDBは、アフリカにおける気候変動への適応と緩和を支援し、持続可能な成長を目指しています。
アフリカのエネルギー普及のための新政策「ニューディール」を展開し、2025年までにアフリカの電化を実現し、経済生産性をCO2排出と切り離すことを目指しています。

4. 給水および公衆衛生

AfDBは、アフリカの持続可能な経済的・社会的発展にとって重要な水の安全保障を強化するため、給水および公衆衛生セクターへの投資を行っています。複数の国で実施されているプロジェクトで、清潔な水へのアクセスを改善し、公衆衛生の向上に寄与しています。

※参照URL:3億人に電力を、アフリカ開発銀行が世界銀行と協力(アフリカ) | ビジネス短信 ―ジェトロの海外ニュース
※参照URL:アフリカ開発銀行が発行する「インプルーブ・ザ・クオリティー・オブ・ライフ・フォー・ザ・ピープル・オブ・アフリカ・ボンド」への投資のお知らせ
※参照URL:インフラへの投資|アフリカ開発銀行グループ
※参照URL:アフリカ開発基金向け円借款貸付契約の調印:アフリカ開発基金第16次増資への融資貢献を通じてアフリカの経済成長と貧困削減に貢献 | ニュース・広報 - JICA

日本との関り

アフリカ開発銀行(AfDB)と日本は、アフリカの経済発展と民間セクターの成長を促進するため、さまざまな協力関係を築いています。以下に主な取り組みの詳細をご紹介します。

アフリカの民間セクター開発のための共同イニシアティブ(EPSA)

2005年に開始された「アフリカの民間セクター開発のための共同イニシアティブ(EPSA)」は、日本政府とAfDBのパートナーシップに基づき、アフリカの民間セクターの発展を支援する枠組みです。

その中で、2019年には「アフリカの民間セクター開発のための共同イニシアティブ」第4フェーズ(EPSA4)として、日本とAfDBとの共同で35 億米ドルを目標額とする資金協力を行うことを発表し、電力、運輸、保健の分野を重点的に支援していくと表明しています。

さらに、 2023年4月25日には国際協力機構(JICA)が、AfDBとの間で441億円を限度とする第8次円借款貸付契約を締結し、アフリカの民間セクター主導の経済成長と貧困削減に貢献することを目指すと宣言しています。

AfDBは、JICAから供与された円借款を原資として、AfDBの民間セクター向け投融資事業(Non-sovereign Operations:NSOs)を通じて、民間企業等に資金を提供(投融資)しています。

また、本事業を通じて、アフリカ域内における民間セクター主導の経済成長及び貧困削減に貢献することを目的に、AfDBのNSOsを通じて、SDGs(持続可能な開発目標)ゴール9(産業と技術革新の基礎をつくろう)、17(パートナーシップで目標を達成しよう)に貢献しています。 

※参照URL:日本とアフリカ開発銀行は、アフリカの民間セクター開発の支援のために、35 億米ドルの資金協力を行うことを発表しました
※参照URL:アフリカ開発銀行向け円借款貸付契約の調印:アフリカの民間セクター主導の経済成長及び貧困削減に貢献 | ニュース・広報 - JICA

日本貿易保険(NEXI)との協力

日本貿易保険(NEXI)とAfDBは、アフリカへの日本企業の輸出や投資を促進するため、協力関係を強化しています。

2024年12月16日には、コートジボワールのアビジャンで開催された「第3回日アフリカ官民経済フォーラム」において、NEXIとAfDBは協力覚書を締結し、クリーンエネルギーやインフラ分野などでの協力を推進することを確認しました。

それ以外にも、NEXIとAfDBの共通の関心分野における人的および知的な交流を促進し、協力関係を強化していくことも宣言しています。

相互交流や協力の具体的な内容には、水素・アンモニアをはじめとするクリーンエネルギー、再生可能エネルギー、エネルギーグリッドの開発や提携、インフラ分野(鉄道、道路、淡水化プラント、廃棄物処理場、ICTインフラなど)の改善協力、 鉱業と重要鉱物の開発や農業分野・自動車、消費財を含む産業分野などの日本からの技術協力や提携、社会開発、環境分野に貢献する日本、アフリカ及び第三国のスタートアップ特定プロジェクトでの連携など多岐に渡る項目が含まれています。

※参照URL:日本貿易保険(NEXI)とアフリカ開発銀行(AfDB)との協力覚書の締結について

経済同友会との連携

日本の経済団体である経済同友会とAfDBは、日本とアフリカ間のビジネス関係強化を目的とした協力を進めています。

2022年11月4日、アフリカ投資フォーラムにおいて、AfDBと経済同友会は、日本とアフリカのビジネス関係を強化するための協力趣意書に署名しました。

このアフリカ投資フォーラム(AIF)(※1)の中で、経済同友会は「インパクト・ファンド」の設立を構想しています。

このファンドは、2023年までの独立事業法人が運営する予定であり、経済同友会の日本企業と官民セクター間のネットワークを活用し、重点分野は、フィンテック(組込型金融を含む)、ヘルスケア、食料の安全保障を重点に置き投資を行っていきます。

※1:アフリカ投資フォーラム(AIF)・マーケットデイズは、アフリカ大陸における革新的な投資機会を紹介する年に一度のイベントであり、世界各地からディールスポンサー、ディールブローカー、ディールメーカー等が集まります。

プラットフォームは、アフリカ開発銀行と他の7つの開発機関(アフリカ50、アフリカ金融公社、アフリカ輸出入銀行、南部アフリカ開発銀行、貿易開発銀行、欧州投資銀行、イスラム開発銀行)によるイニシアチブで行われています。

※参照URL:KEIZAI DOYUKAI, African Development Bank Group sign letter of intent to strengthen cooperation and business ties between Japan and Africa

まとめ

アフリカ開発銀行(AfDB)は、アフリカ大陸の経済的発展と社会的進歩を支える国際金融機関として、1964年に設立されました。

本部はコートジボワールのアビジャンにあり、アフリカ域内の54カ国と域外の27カ国を合わせた計81カ国が加盟しており、アフリカ諸国の持続可能な成長を促進し、貧困削減を目指す多様な取り組みを展開しています。

AfDBの活動は、5つの戦略的優先事項「High 5s」を中心に進められています。特にインフラ整備、民間セクター開発、気候変動対策、給水・公衆衛生の分野で多くのプロジェクトを展開しています。

具体的には、ケニアとタンザニアを結ぶ電力相互接続プロジェクトや、ウガンダ農村部での電力アクセス拡大プロジェクトなどが挙げられます。

また、日本はAfDBの重要なパートナーであり、2005年に開始された「アフリカの民間セクター開発のための共同イニシアティブ(EPSA)」を通じて、資金協力や政策支援を行っています。

さらに、日本企業のアフリカ進出を支援するため、日本貿易保険(NEXI)や経済同友会との連携も強化されています。

アフリカ開発銀行の取り組みは、アフリカの経済的自立を目指しつつ、国際社会と連携して持続可能な未来を築くための重要な役割を果たしています。

日本とアフリカ諸国のビジネス関係は、今後SDGs(持続可能な開発目標)やアフリカ連合の「アジェンダ2063」とも連動し、アフリカ全体の発展を加速する重要な存在となっていくと期待されています。

お問い合わせ

この記事に関するお問い合わせや、アフリカビジネスに関するご相談は、Email [info@aa-healthdynamics.com]までお気軽にどうぞ!
























この記事を書いたライター

増田さなえ

米国ピッツバーグ州立大学卒業後、セントマシュー医科大学とウィンザー医科大学に進み医学博士取得、救急医師として、米国やカリブ海の医療に従事する。2014年に出産のため休職し、ウェブライターを始める。2014年からカリブ海の救急医として2019年まで働く。2020年からは米国に戻りウェブライター専門で活動中。

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