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アフリカヘルステック企業の最新動向を徹底解説

2024.01.08Media

アフリカヘルステック企業の最新動向を徹底解説

アフリカヘルステック企業の最新動向を徹底解説

ヘルステック(医療テクノロジー)の進展が、アフリカの人たちの健康に対する考え方や、医療サービスへのアクセス方法を急速に変化させています。本記事では、アフリカのヘルステック企業の最新動向について、最前線で活躍する企業や、地域の医療に変革をもたらしている革新技術、成功事例、そして残る課題と未来の展望を紹介します。

ヘルステックが注目される背景

アフリカヘルステック企業の発展は、地域の医療状況を大きく変革しています。ここでは、アフリカにおけるヘルステックが注目される背景を徹底的に解説していきます。

医療アクセスの課題から生まれたヘルステック需要

アフリカ大陸では、長年にわたり医療インフラの不足や医師・医療従事者の不足が深刻な問題として存在してきました。特に農村部や遠隔地では、医療機関へのアクセスが極めて限定され、慢性的な病気や緊急医療の対応が遅れることが今でも起っています。
それらに加え、感染症(マラリア、HIV/AIDS、結核など)の流行や母子保健の不十分さが、コロナ禍を過ぎてもまだまだアフリカ諸国の地域社会に大きな影響を与えています。
これらの医療課題を解決するために、近年注目されているのが「ヘルステック(医療テクノロジー)」です。ヘルステック(HealthTech)とは、医療や健康分野における課題を解決するために、最新のテクノロジーを活用した革新的なソリューションの総称です。
ヘルステックの目的は、医療サービスの提供方法を改善や患者さんの健康管理サポート、または医療費の削減や医療の質の向上を実現することにあります。
現在のアフリカ諸国では、デジタル技術、モバイル技術、AI(人工知能)、IoT(モノのインターネット(※1))を駆使することにより、医療サービスへのアクセスを革新し、医療インフラを強化する新たな取り組みが急速に拡大しています。

※1:IoT(Internet of Things、モノのインターネット)とは、インターネットを通じて物理的なデバイスやセンサーが互いに接続され、データを交換する仕組みのことを指します。IoTは、従来インターネットに接続されていなかった日常の物や機器に通信機能を持たせ、それらが自動的に情報をやり取りし、連携して動作することで、効率的な制御や情報の提供を実現します。

医療アクセス以外の課題

他の国々と同じように、アフリカ諸国も経済的に発展するにつれて、医療に関する課題も増えてきました。医療アクセス以外にも、以下のような問題も多く国によっては、大きな問題になっています。

1.医療費の高騰
感染病多発地帯やサブサハラ地域などの国々では、パンデミックを経てさらに国民の医療費が圧迫されるようになりました。政府自体の予算が少ない場合、または政府自体が経済的にひっ迫しているような国では、医療費まで十分な予算が取れずにそのしわ寄せが国民に来ている状態です。

2.ICT関連技術の進歩
上記の医療アクセスとも関連していますが、ICT関連技術の進歩と共に、今まで医療機関を利用できなかった人たちもICT技術を利用して医療サービスを受けられるようになりました。そのため、以前よりもヘルステックに関する関心が高まり需要が伸びています。

3.働き方改革や健康生活の推進
欧米諸国や日本に比べれば、まだまだアフリカ諸国ではその数は少ないですが、働き方改革や健康に対する関心が増えてきました。その結果、今まであまり関心の無かった人たちでもヘルステック関連の情報やニュースを耳にするようになり、健康に対する意識や医療サービスに関する関心が高まりました。

4.予防医療への意識が増大
コロナ禍を通して、世界中でマスクや手洗い、衛生管理に対する情報が連日あらゆるメディアで流れるようになりました。その影響を受け、アフリカ諸国でも予防医療や衛生観念の重要性が叫ばれるようになってきました。

5.メンタル管理の必要性が増加
フィジカル的なヘルス管理だけではなく、コロナ禍を通してアフリカ諸国でもメンタルヘルスの重要性が認識されてきました。その中でも、ヘルステックの技術(専用のヘルスケアアプリなど)を利用したメンタル管理の関心が高まり、今まであまり焦点を当てられてこなかったメンタルケアが徐々に注目されてきました。

上記のような要因が、アフリカ諸国のヘルステックの需要を高め、課題を抱えながらも、アフリカ諸国ではテクノロジーの力でその健康的な未来を切り開こうとしています。

アフリカ諸国への投資の動向と外資の参入

アフリカのヘルステック分野に対する投資は、ここ数年で急速に成長しており、外資の参入が重要な推進力となっています。以下、投資の動向と外資の影響を具体的なデータや資料を交えて説明します。

投資額の増加傾向

2023年には、アフリカのヘルステック企業が合計で約167百万ドルの資金を調達しました。これは前年からの微減(約2%の減少)でしたが、同時に投資件数が17%増加しており、ヘルステック分野への関心が高まり続けていることを示しています。
その内訳はオンライン薬局や遠隔医療分野が投資の中心となっており、38%の資金がこの分野に集中しています。
特に注目したいのは、女性のスタートアップ起業が多いことです。2022年の200万ドルから2023年には5,200万ドルへと、女性主導の新興企業への資金調達が2,000%以上増加し、Kasha社、Dawi Clinics社、Maisha Meds社など女性が起業するスタートアップへの投資が増加しています。
 Kashaの2,100万ドルのシリーズB資金調達は、女性主導のアフリカのヘルステック企業への過去最大の投資額でした。

Kasha

アフリカにおけるヘルステックのリーダー企業の一つで、特にケニアとルワンダを中心に活動しています。Kashaは、女性が健康関連製品に簡単にアクセスできるオンラインプラットフォームを提供し、女性のためのヘルスケアや美容製品を販売しています。
彼らの主なミッションは、都市部から農村部まで幅広い層の女性に対して、避妊具、月経用品、スキンケア製品、さらには処方薬まで、プライバシーを保ちながら簡単に購入できる機会を提供することです。
また、オンライン薬局プラットフォームでオンラインで薬やヘルスケア製品を注文できるサービスを展開しており、都市と農村の両方に対応した配達ネットワークを持っています。
顧客は、モバイルアプリやウェブサイトを通じて、必要な製品をプライバシーが保たれた状態で受け取ることができます。
Kashaは、2023年にシリーズBラウンドで約21百万ドルの資金を調達し、アフリカの女性主導のヘルステック企業としては最大の投資を受けました​。これにより、同社はさらに多くの地域にサービスを拡大し、より多くの顧客にリーチできるようになりました。

参照URL:https://kasha.co/

Dawi Clinics

アフリカ、特にエジプトを中心に展開しているヘルステック企業で、手頃な価格で質の高い医療サービスを提供することを目指しています。
Dawi Clinicsは、都市部および農村部の患者にアクセスしやすいクリニックを展開し、基本的な医療から専門的な診療まで幅広いサービスを提供しています。

その主な特徴は、医療の包括的なサービスによる医療アクセスの改善と、低所得層を含む広範な層に対して手頃な価格で医療を提供する点です。
例えば、一般的な健康診断や予防医療から専門的な診療、検査サービスまで幅広い医療を提供することにより、地域住民が必要な医療サービスをワンストップで受けられるようになり、コストの削減に貢献しています。

また、Dawi Clinicsは、デジタル技術を駆使して診療記録を管理し、遠隔地にいる患者でもオンラインで医療相談ができるシステムを提供しています。これにより、医療へのアクセスが制限されている地域の住民にも質の高いケアを提供しています。

上記のような働きが認められ、近年多くの投資を受けて急成長を遂げて2023年にはシリーズBラウンドで多額の資金を調達しました。これにより、さらなるクリニックの展開やテクノロジーの導入が進むと期待されている起業です。

※参照URL:https://www.eaefund.org/investment-portfolio/dawi-clinics/
※参照URL:https://www.salientadvisory.com/reports/report-2023-roundup-investments-in-african-healthtech/
※参照URL:https://www.salientadvisory.com/reports/innovations-in-digitizing-health-supply-chains-in-africa/

Meisha Meds社

このスタートアップは、ケニアを拠点とするヘルステック企業で、薬局や医療提供者向けにデジタルソリューションを提供し、医薬品の在庫管理、販売、供給チェーンを効率よく運営しています。
そのため、薬局が医薬品の在庫をデジタルで管理し、販売履歴や在庫状況を追跡できるシステムを提供しています。このシステムは、医薬品の供給不足や偽造薬の問題に対処するために役立っており、薬局はリアルタイムで在庫を監視し、効率的な供給を実現できます

また、Meisha Meds社はアフリカ東部を中心に活動しており、農村部や医療リソースが限られている地域でも、質の高い医薬品の提供を目指しています。
このスタートアップの特徴は、外部からの投資を受けて成長を遂げており、2023年には女性主導のスタートアップとして52百万ドルの投資を獲得した企業の一つです。この投資により、サービスの拡大とテクノロジーのさらなる向上が期待されています。

※参照URL:https://maishameds.org/

ヘルステックの成功例とこれからのトレンド

ヘルステックと言っても、実際にはどのような取り組みやサービスがアフリカ諸国で成功しているのでしょうか。ここでは、アフリカ諸国での現在のヘルステックの成功した事例とこれからも伸びるであろうヘルステックのトレンドをご紹介します。

遠隔医療(テレメディスン)

アフリカでは、特にサハラ以南の国々で、遠隔医療(テレメディスン)が医療サービスのアクセスを向上させるために活発に利用されています。

例えば、ガーナやナイジェリアでは、インターネットを介して遠隔診断や教育を行うプロジェクトが早期に導入され、ガーナでは医師や外科医が無料の通話やSMSを利用して連絡を取り合い、遠隔地の医療サービスを支援しています。

また、ケニアでは、遠隔医療を通じて診療や検査を行うシステムが整備され、特にCOVID-19のパンデミック後、医療アクセスを拡大するための取り組みが進んでいます。

これらのテレメディシンが成功した背景には、手持ちのスマートフォンやタブレットなどインターネットがある場所ならば、どこでも診療や医療サービスが受けられるという電子デバイスの利用を最大限に生かしたサービスがあります。

※参照URL:https://link.springer.com/article/10.1007/s12553-021-00626-7
※参照URL:https://www.nature.com/articles/s41591-022-02089-3

モバイル健康(mHealth)アプリケーション

上記のテレメディシンと連携して活躍しているのが、モバイル健康(mHealth)アプリケーションです。モバイル健康技術(mHealth)は、アフリカ諸国で急速に普及しており、特に疾病管理や診断支援において重要な役割を果たしています。

携帯電話やスマートフォンを利用したmHealthは、SMSやアプリを通じて患者に健康に関するアドバイスやリマインダーを提供し、慢性疾患の管理や予防接種の促進に貢献しています。

特に、ケニアやウガンダなどでは、HIV、マラリア、結核などの主要な感染症の治療支援にmHealth技術が活用されており、農村部での医療サービスへのアクセスを改善しています。
それ以外にも、国連合同HIV/AIDS計画(UNAIDS)と世界保健機関(WHO)は共同で、保健政策とプログラムを実施する際の戦略計画の一部として、ワイヤレス・モバイル通信を組み込んでいます。
 GSMA(Global Speciale for Mobile Association)の2018年版レポートによると、世界的にスマートフォンの利用者は約60%と推定されており、2025年には79%近くまで増加すると予測されています。

また、2018年のサハラ以南のアフリカ(SSA)のスマートフォンユーザー数は約36%と推定され、2025年には約66%に上昇すると予測されています。
この高い携帯電話普及率とその独自性から、携帯電話は医療提供を促進し、質の高い医療へのアクセスにおけるギャップを埋めるための便利なツールとなっており、通常のグローバルコミュニケーションに使用されるだけでなく、医療提供のサポートや病気の予防にも活用されていると報告されています。

※参照URL:https://bmcmedicine.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12916-024-03417-9
※参照URL:https://www.jmir.org/2024/1/e50337

サプライチェーン管理と医療物流

アフリカの医療サプライチェーンは、主に5つの主要プロセスに分けられます。

消費者向けの直接販売: オンライン薬局や遠隔医療といったデジタルプラットフォームを通じて、医薬品を直接消費者に届ける仕組みが発展しています。

注文および在庫管理: 薬局や医療機関が在庫を管理し、医薬品を注文・補充できるデジタルマーケットプレイスが拡大中です。特に、14の企業が政府と提携し、デジタル化された注文・在庫管理サービスを提供しています。​

輸送および倉庫管理: 冷蔵医療品の配送や医療ドローンを使った輸送など、効率的な医薬品物流を支える技術が急速に進展しています。

製品保護と可視性: 偽造薬を防ぐためのトラッキング技術や、サプライチェーン全体での製品の移動を監視する技術が開発されています。

データ分析: 医薬品供給チェーンの計画と管理にデータを活用する取り組みが進められており、特に医療機関や政府向けに提供されています。

上記の5つのプロセスによるアフリカの医療物流とサプライチェーンに関するテクノロジーの導入は、地域の医療アクセス改善に大きな役割を果たしています。特に、ナイジェリア、ケニア、南アフリカなどの「テックハブ(※2)」と呼ばれる国々を中心に、テクノロジーを活用して医薬品や医療物資の流通を効率化する動きが活発です。

例えば、LifeBankは、ナイジェリアの都市部および農村部でドローンを使用した医療供給を成功させています。この企業はドローンで血液を輸送し、遠隔地の病院での手術や救急治療を支援しています。
このサービスにより、医療機関が必要な時に必要な量の血液を迅速に確保できるため、特に母子保健や外傷治療の場面で命を救う結果に結びついています。

※2:テックハブ(Tech Hub)とは、特定の地域で技術革新やスタートアップ企業の発展を支援するためのインフラやエコシステムが整った場所を指します。これらのハブは、技術を中心とした企業や起業家が集まり、アイデアの交流やリソースの共有、投資家との連携が促進される場として機能しています。テックハブは、イノベーションを加速させ、地域の経済成長を牽引する役割を果たしています。
※参照URL:https://lifebankcares.com/
※参照URL:https://africabusiness.com/2023/07/26/african-governments-are-collaborating-with-tech-innovators-to-strengthen-local-health-supply-chains-new-report-reveals/

まとめ

アフリカのヘルステック企業は、急速に成長しており、医療のデジタル化を通じて地域の医療サービスを大きく変革しています。特に、ナイジェリア、ケニア、南アフリカなどの「テックハブ」と呼ばれている国々が主要な中心地となっており、医療アクセスの改善、コスト削減、医療リソースの効率化を目指した革新的な取り組みが進行中です。

特に今後も伸びると言われているヘルステックのトレンドは、遠隔医療(テレメディスン)とモバイル健康(mHealth)の普及、サブプライムチェーンによる物流管理だと言われています。

アフリカのヘルステック企業には、ビル&メリンダ・ゲイツ財団などの国際的な組織が積極的に投資を行っており、成長を支えています。しかし、資金調達の大部分はアメリカやヨーロッパに本拠を置く企業に集中しているため、現地のスタートアップ企業には依然として資金調達における課題が残っています​。

そのため、課題も山祇ですが、政府との連携の強化がカギとなるのではないかとも言われ、今後さらに大きな成長が期待されています。

お問い合わせ

この記事に関するお問い合わせや、アフリカビジネスに関するご相談は、以下の「Form」AA Health Dynamics株式会社のお問合せフォームへ移動します)、または、Email [info@aa-healthdynamics.com]までお気軽にどうぞ!

Author
増田さなえ
テーマヘルステック・スタートアップ
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