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豊田通商とアフリカヘルスケアの戦略的パートナーシップに迫る

2025.01.30Media

豊田通商とアフリカヘルスケアの戦略的パートナーシップに迫る

豊田通商とアフリカヘルスケアの戦略的パートナーシップに迫る

日本の総合商社である豊田通商は、アフリカの医療分野における革新的な取り組みを支援するため、現地ヘルスケア企業との戦略的パートナーシップを発表しました。この提携は、アフリカ地域における医療アクセスの向上や持続可能な医療インフラの構築を目指す重要な一歩とされています。ここでは、豊田商事のパートナーシップの目的や、具体的にどのようなパートナーシップを結ぶのかなどを掘り下げてお伝えします。

豊田通商とは

自動車の会社としての「トヨタ」は有名ですが、ここでは、豊田通商株式会社(以後豊田通商と略)とは一体どのような会社なのかその概要をお伝えします。

豊田通商株式会社は、1948年に設立されたトヨタグループ唯一の総合商社であり、名古屋市中村区に本社を構えています。2024年3月期の連結売上高は約10兆1,889億円、従業員数は各部門を合わせて69,517名に上ります。 

豊田通商の事業は主に7つの領域に分かれており、世界中でさまざまな事業を展開しています。7つの事業領域は以下のようになっています。

・メタル+(プラス)
金属分野における素材革命や機能変革を先導し、カーボンニュートラル社会への貢献を目指す。

・サーキュラーエコノミー
新しい資源循環の在り方をデザインし、環境負荷の低減と新たな価値創造に取り組む。

・サプライチェーン
サプライチェーン機能を強化し、地政学リスクや多様化するニーズに対応。

・モビリティ
新たなビジネスモデルを構築し、移動を通じて社会に幸せを提供することを目指す。

・グリーンインフラ
再生可能エネルギーと機械ビジネスのシナジーにより、持続可能な社会インフラの実現に貢献。

・デジタルソリューション
技術革新やデジタル変革を先取りし、次世代モビリティ社会へのソリューションビジネスを拡大。

・ライフスタイル
農業、食品、ファッション、ヘルスケアなど、人々の生活に密接に関わる分野で新たな事業を創出。

また、豊田通商はアフリカ諸国へのパートナー―シップNo.1を掲げ、同地域の課題解決と未来の発展に貢献しています。

※参照URL:会社概要 | 豊田通商株式会社
※参照URL:事業紹介 | 豊田通商株式会社

豊田通商がアフリカ諸国とのパートナーシップを結ぶ目的

ここでは、なぜ豊田通商がアフリカ諸国とのパートナーシップに力を注いでいるのか、その目的やメリットをお伝えします。

経済成長と産業化の促進

豊田通商は、アフリカ全54カ国で事業を展開し、現地の人々と共に経済成長と産業化の促進に注力しています。なぜならば、アフリカ諸国は日本にとって、市場拡大と経済成長の機会があるマーケットだからです。

アフリカは「最後のフロンティア」とも呼ばれ、豊富な天然資源や急速な人口増加、中間層の拡大など、経済成長のポテンシャルが高い地域です。

そこに目を付け、豊田通商は、アフリカ全土での事業展開を通じて、新たな市場機会を創出し、収益基盤の多様化を図っています。

※参照URL:アフリカと共に成長する豊田通商の歩みと展望

多様な事業分野での現地ニーズへの対応

豊田通商では7つの主力な事業分野を持っているように、技術力には大変定評があります。そのため、それらの事業をモビリティ、ヘルスケア、コンシューマー、インフラなどの分野で、現地のニーズに応じた事業を展開し、地域社会の発展に寄与しています。

これは、アフリカ諸国での事業の活性化だけでなく、将来的に展開するさまざまな事業への足がかりとなり、アフリカ諸国の広大な資源と豊田通商の技術がアフリカ諸国だけでなく、日本の国や日本企業にも大きな利益もたらすと考えられています。

そのため、現在では現地での自動車生産支援や医薬品の現地生産・卸売・小売事業などを通じて、地域のニーズに応えています。

※参照URL:アフリカと共に成長する豊田通商の歩みと展望
※参照URL:豊田通商のアフリカ展開:開発途上国での社会課題解決への新たな一歩 | Reinforz Insight

社会課題の解決と企業価値の向上

「WITH AFRICA FOR AFRICA」の理念の下、現地の社会課題を解決し、持続可能な発展に貢献することを目指し豊田通商はアフリカ諸国でのパートナーシップに尽力しています。

「WITH AFRICA FOR AFRICA」は、豊田通商株式会社が掲げる理念であり、アフリカの人々と共に成長し、アフリカのために貢献することを意味します。

この理念の下、豊田通商はアフリカ全54カ国で事業を展開し、現地の経済成長と産業化の促進に注力しています。

具体的には、現在モビリティ、ヘルスケア、コンシューマー、インフラの4分野で事業を展開し、現地のニーズに応じたサービスを提供しています。

また、現地の人材育成やカーボンニュートラルの実現にも積極的に取り組んでいます。このような取り組みを通じて、豊田通商はアフリカ諸国との持続的な発展と自社の成長を両立させることを目指しています。

※参照URL:アフリカと共に成長する豊田通商の歩みと展望
※参照URL:https://www.toyota-tsusho.com/ir/library/report/uploadfiles/2tokushu.pdf

パートナーシップの成功事例

ここでは、実際に豊田通商がアフリカ諸国とどのようなパートナーシップを結び、どのような事業が成功を収めているのかをご紹介していきます。

モビリティ分野

トヨタ車を中心とした新車販売・アフターサービスを軸に、マルチブランドで自動車事業を展開しています。現在ではアフリカ諸国の政府と協力し、小規模生産事業(CKD)の推進や自動車部品の現地調達を進め、現地生産の活性化に貢献しています。

特にマルチブランド戦略などは、豊田通商の事業力を活かし成功を収めている事例です。トヨタ車を主力としながら、他のブランド(例: ダイハツや日野自動車などのグループブランドや他国製の車両)も取り扱い、幅広い製品ラインアップを提供しています。

また、新しい取り組みとして、客層ごとの車両提供にも取り組んでいます。例えば、都市部の富裕層向けには高級車を、農村部や中間層向けには耐久性の高い商用車やコンパクトカーを提供し、地域や顧客層に応じた最適な製品を展開しています。

さらに、アフリカ全土に広がる販売店やサービスネットワークを通じて、異なるブランドの車両を統合的に扱う体制を整えています。これにより、販売からアフターサービスまで一貫した対応が可能となっています。

そのほか、CVC(コーポレートベンチャーキャピタル(※1))であるMobility 54Investment SASによるアフリカ各地でモビリティ関連のスタートアップ企業への出資や協業を通じ、MaaS(Mobility as a Service(※2))事業を加速しています。

例えば、ケニアの物流マッチングサービス、マリのバイクタクシー事業、ルワンダのカーシェアリング事業など、多様なモビリティサービスを展開しています。 

※1:コーポレートベンチャーキャピタル(Corporate Venture Capital, CVC)とは、企業が自社の資金を使ってベンチャー企業やスタートアップ企業に出資する活動や、そのための部門・組織を指します。
※2:Mobility 54 Investment SASとは豊田通商が設立したCVCであり、アフリカのモビリティ関連スタートアップへの出資を通じて、モビリティ事業を拡大しています。
※参照URL:アフリカと共に成長する豊田通商の歩みと展望

ヘルスケア

豊田通商は、アルジェリアやモロッコでの医薬品受託生産、東アフリカ大手薬局チェーンへの出資を通じ、医薬品の現地生産・卸売・小売事業を拡大し、地域の医療アクセス向上に寄与しています。

その具体例としては、2022年に豊田通商のグループ会社である「CFAO」は、アフリカで急成長するヘルスケア分野のスタートアップ企業への投資を目的として、投資会社「Health54」を設立しました。

同年10月、Health54は第1号案件として、ナイジェリアのヘルスケアスタートアップ「Lifestores Healthcare」への出資を行いました。

Lifestoresは、オンライン医薬品市場「OGApharmacy」を運営し、約600の病院や薬局と取引しています。この取り組みにより、信頼性が高く安価な医療サービスの提供を可能にしています。

また、アルジェリアとモロッコの医薬品受託生産に関しては、医薬品のライセンス生産を可能にしたことにより、現在はアフリカ22カ国で医薬品の卸売事業を展開し、約31,000種類の医薬品を毎日約8,600の薬局や病院に配送できるようになりました。

さらに、2022年4月、豊田通商はケニアの大手薬局チェーン「Goodlife Pharmacies」に出資し、アフリカの医薬品小売分野に事業を拡大しました。これにより、医薬品の現地生産・卸売・小売のバリューチェーンを構築し、ケニアの医療アクセスが飛躍的に向上しました。

※参照URLアフリカでヘルスケア分野のスタートアップ投資に特化した投資会社「Health54」設立およびLifestores Healthcareへの出資 | 豊田通商株式会社
※参照URL:アフリカ | 豊田通商株式会社

コンシューマー分野

生活衛生用品や飲料などの消費財の現地生産・卸売事業を展開し、地域の産業化と雇用創出に貢献しています。 

特にユニ・チャームと豊田通商は、各社の強みを活かし、衛生用品の使用が浸透していない地域に現地生産・販売体制ができるような環境造りに取り組んでいます。

アフリカ諸国の女性の必需品である生理用ナプキンなど女性特有の生活用品の普及率は依然として低く、特にケニアでは現在約3割にとどまっています。

そこで、ユニ・チャームとCFAOケニアは2023年8月より、ケニア市場に対し生理用ナプキン「SOFY Deep Absorb」やさらに価格を抑えた生理用ナプキン「SOFY Long Lasting(ソフィ ロング ラスティング)」を現地で生産し、CFAOケニアが販売しそのシェアをのばしています。

また、フランスの小売大手カルフール社との提携により、コートジボワールなどでスーパーマーケットの開発・運営も行っています。この取り組みは、近年アフリカ諸国内でも経済的に裕福な層が増えてきたことを反映し、生活必需品だけでなく嗜好品などにも焦点を当てる目的で考えられました。

これにより、アフリカ諸国で増えてきた中間層にもターゲットを絞り、高品質な商品を最良の価格で商品を購入できることを可能にさせ、QOL(Quality Of Life)の向上にも貢献しています。

※参照URL:ユニ・チャームと豊田通商、ケニアでの衛生用品普及に向けた生産・販売を開始
※参照URL:アフリカ | 豊田通商株式会社

インフラ分野

インフラの分野では、再生可能エネルギー事業に積極的に取り組んでいます。特に、ケニアの地熱発電、ナイジェリアの太陽光発電、エジプトの風力発電など、各国のポテンシャルを活かした再生可能エネルギー事業を推進し、持続可能な社会インフラの実現に貢献しています。

そのため、豊田通商は2024年3月にフランスにアフリカで再生可能エネルギー事業を行う新会社「AEOLUS SAS」(エオラス社)を設立しました。この会社は豊田通商の子会社であるCFAO SAS株式会社ユーラスエナジーホールディングスが各々50%出資している会社です。

「For the future children of Africa(アフリカの未来の子供たちのために)」というポリシーを基本概念として、エオラス社は今後はアフリカにおける再生可能エネルギーによるIPP(独立系発電事業者)ビジネスをコア事業として、太陽光・風力などアフリカ各国の状況に適した再エネ電源の開発・導入量拡大を目指しています。

また、インフラ分野ではセネガルの海水淡水化プラント建設にも積極的に取り組んでいます。セネガルでは、人口増と都市の拡大により水の需要に十分対応できておらず、国民の6割以上が恒常的な断水を経験するなど、安定した給水システムが必要でした。

その背景を踏まえ、2022年6月、豊田通商はセネガル初となる海水淡水化プラントの建設工事を受注しました。このプロジェクトは、西アフリカ地域での安定した給水に貢献することを目的としています。 

この淡水化プラントの建設と2年間のメンテナンス契約により、日量5万トンの飲料水を製造できるようになり、約70万人への給水を行うことが可能になりました。

※参照URL:豊田通商、CAFOとユーラスエナジーと共同でアフリカで再生可能エネルギー事業を行う新会社を設立! - Africa Quest.com
※参照URL:アフリカで再生可能エネルギー事業を行う新会社を設立~アフリカにおける再エネ事業を新会社に集約し事業開発を加速~ | 豊田通商株式会社
※参照URL:セネガル初の海水淡水化プラント建設工事を受注~西アフリカで安定した給水に貢献~ | 豊田通商株式会社

豊田通商の将来へつなぐ新たなる試み

現在までにもさまざまなプロジェクトが行われ成功を収めていますが、ここでは今後、豊田通商がどのような新しい試みに挑戦していくのかをご紹介していきます。

技術を生かしたメディカルサポート

SDGsの17の目標の1つにも「すべての人に健康と福祉を」とあるように、グローバルヘルスは、今後地球規模の保健・衛生に関する国際社会の重要課題です。

アフリカ諸国の中でも、医療格差の大きいサハラ以南のアフリカ地域および南アジア地域といったグローバルサウスと呼ばれる地域では、毎年世界中で亡くなる5歳未満の子どもの約8割を占めています。

その死因の多くはワクチンさえあれば助かるような感染症です。豊田通商はその技術力やネットワークを活かし、課題が山積みである保冷輸送に適した車「ワクチン保冷輸送車」の開発とWHOの承認を得ることに成功しました。

ワクチン保冷輸送車の車両には、オフロードの走行に適したトヨタランドクルーザー78を使用し、途上国の未整備の道路でも輸送を可能にしました。また、B Medical Systems社が製作するワクチン専用の冷蔵庫を使用し、396L(小児用ワクチンパッケージ400個分のイメージ)分のワクチンが電源無しで約16時間稼働できるようになりました。

これにより、廃棄ワクチンや運用コストの削減、輸送オペレーションの効率化などにおける成果が確認され、輸送オペレーションなどのさまざまな課題も解決しました。

現在では、ワクチン保冷輸送車は、小児用ワクチンの輸送のみならず、途上国における新型コロナウイルスワクチンの供給でも活躍しており、今後は「Zero-dose Children(ジフテリア・破傷風・百日咳含有ワクチン(DTP1)の初回投与を受けていない小児)の撲滅」におけるワクチン保冷輸送車の供給を拡大させるという試みを実施しています。

※参照URL:B Medical Systems
※参照URL:ラストワンマイルをつなぐワクチン保冷輸送車で途上国の子供たちの命を守る | 豊田通商株式会社

Ziplineとのパートナーシップ

豊田通商は2018年6月にZipline(ジップライン)社に出資して以降、ガーナでの協業などを推進してきました。そのつながりから、ルワンダやガーナでドローン物流事業を展開している米国のZipline International Inc.と戦略業務提携契約を締結しました。

この提携はジップライン社が他社に技術提供する初めてのケースとなります。特徴的なのは、今まで日本からアフリカ諸国へ技術やサービスを提供してきたのに対し、ガーナやルワンダからの技術や経験を日本へ逆輸入するということです。

これにより、日本でも離島や輸送困難な場所に住んでいる人たちにも、ドローンによりワクチンや医薬品、または物資の供給が可能になりました。

また、2022年度以降の「有人地帯上空での補助者なし目視外飛行」(レベル4飛行)を実現するための制度整備等を主な内容とする「航空法等の一部を改正する法律案」が、2021年3月に閣議決定されるなど、ドローンの利活用拡大を図るための日本国内での環境整備も進んでいます。

※参照URL:アフリカの事例を日本へ!豊田通商、ドローン物流サービスを展開しているZipline社と提携! - Africa Quest.com
※参照URL:ドローンで空の物流網を構築 次世代技術で暮らしをもっと豊かに、便利に | 豊田通商株式会社

まとめ

豊田通商は、「WITH AFRICA FOR AFRICA」の理念のもと、アフリカ諸国と多岐にわたる戦略的パートナーシップを展開しています。具体的には、モビリティ、ヘルスケア、コンシューマー、インフラの4分野で事業を推進し、地域社会の発展と自社の成長を両立させています。

モビリティ分野では、トヨタ車を中心に現地生産やMaaS事業を展開し、交通インフラの発展に寄与。ヘルスケア分野では、医薬品の現地生産や流通、デジタルヘルスケアへの投資を通じて医療アクセスの向上に努めています。

さらに、コンシューマー分野では、消費財の生産やスーパーマーケット運営を進め、生活水準の向上を目指しています。インフラ分野では、再生可能エネルギーや水資源管理、港湾開発プロジェクトを通じて持続可能な社会の基盤を築いています。

特にアフリカ諸国とのヘルスケア分野では具体例として、ナイジェリアのヘルスケアスタートアップ「Lifestores Healthcare」への出資や、ケニアの大手薬局チェーン「Goodlife Pharmacies」との提携があります。

また、医薬品の供給体制を強化し、地域の病院や薬局と密接に連携することで、高品質で信頼性のある医療サービスを提供しています。また、物資だけでなく、デジタル技術を活用した新しいヘルスケアモデルを推進し、持続可能な地域医療の実現を目指しています。

豊田通商の取り組みは、現地社会の課題解決に寄与し、アフリカ地域における経済成長と福祉向上に大きな影響を与えています。

ライター紹介
増田さなえ
米国ピッツバーグ州立大学卒業後、セントマシュー医科大学とウィンザー医科大学に進み医学博士取得、救急医師として、米国やカリブ海の医療に従事する。2014年に出産のため休職し、ウェブライターを始める。2014年からカリブ海の救急医として2019年まで働く。2020年からは米国に戻りウェブライター専門で活動中。

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この記事に関するお問い合わせや、アフリカビジネスに関するご相談は、Email [info@aa-healthdynamics.com]までお気軽にどうぞ!

Author
増田さなえ
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