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世界の失明を半減へ――OUI Inc.のSmart Eye Cameraがアフリカで起こす革命

2025.06.05Media

世界の失明を半減へ――OUI Inc.のSmart Eye Cameraがアフリカで起こす革命

世界の失明を半減へ――OUI Inc.のSmart Eye Cameraがアフリカで起こす革命

日本発の医療スタートアップOUI Inc.は、「世界の失明を50%減らす」という壮大なビジョンのもと、スマートフォンを活用した革新的な眼科医療機器「Smart Eye Camera(SEC)」を開発。アフリカ各国で現地医療機関や国際機関と連携し、遠隔診断やAI診断、医療従事者育成など多面的な社会実装を進めています。SECは都市部と地方をつなぎ、専門医不足やインフラ課題を乗り越えて、アフリカの視覚障害・失明予防に新たな光をもたらしています。OUI Inc.の挑戦は、日本企業のグローバル展開の新たなモデルとなっています。


1.OUI Inc.の会社概要

OUI Inc.(ウイインク)は、2016年に慶應義塾大学医学部の現役眼科医らが設立した日本発の大学発ベンチャーです。医学・工学・ビジネスなど多様な分野のプロフェッショナルが集結し、「世界の失明を50%減らす」という壮大なビジョンを掲げて活動しています。
本社は東京都新宿区。社員数は11~50名規模で、医療機器開発・グローバル事業・AI開発・現地展開・国際連携など幅広い事業を展開しています。

  • CEO(創業者):清水映輔(慶應義塾大学医学部眼科医、MD, PhD)
  • ミッション:「世界の失明を50%減らす」「医療アクセス格差の解消」
  • 主力製品:「Smart Eye Camera(SEC)」
    スマートフォンに装着するだけで、従来の細隙灯顕微鏡と同等の眼科診断を可能にする世界初のアタッチメント型医療機器。
    スマホのカメラと光源を活用し、前眼部・後眼部の観察、白内障・角膜疾患・網膜疾患など幅広い診断が可能。重さわずか数十グラム、ポケットサイズで電源不要。
    日本、欧州(CE)、ケニアなどで医療機器登録済。

グローバル展開

  • 世界25カ国以上でパイロット・共同研究・現地導入を実施
  • アジア・アフリカ・中南米・欧州などで現地医療機関・NGO・国際機関と連携

引用リンク:OUI Inc.公式サイト(英語)
引用リンク:会社概要(英語)
引用リンク:会社紹介(日本語)


2.アフリカ事業の全体像

OUI Inc.はアフリカ各国で「Smart Eye Camera(SEC)」を核とした眼科医療のアクセシビリティ向上に注力しています。
アフリカは世界の失明人口の多くを占め、特にサハラ以南アフリカでは眼科医療へのアクセス不足が深刻です。アフリカにおける失明の主な原因は、治療可能でありながら医療アクセスの不足から放置されがちな白内障が最も多く、全体の約半数を占めています。加えて、トラコーマやオンコセルカ症(河川盲目症)といった感染症、緑内障も大きな割合を占めています。未矯正の屈折異常や糖尿病網膜症、角膜混濁なども失明の一因ですが、特に白内障や感染症の影響が深刻で、社会的・経済的な課題と密接に結びついています。

そこで、OUI Inc.は現地医療機関・NGO・国際機関と連携し、SECを活用した診断・遠隔医療・人材育成・疫学研究など多面的な取り組みを展開しています。

主な進出国・地域

OUI Inc.はアフリカ各地で、現地の医療機関や大学と連携しながらSmart Eye Camera(SEC)を活用した眼科医療アクセスの拡大に取り組んでいます。

  • ケニア
    SECが2021年に医療機器として正式登録され、Kisii Eye HospitalやGertrude's Children's Hospitalなど複数の主要病院で導入されています。特にKisii Eye Hospitalは年間1万件以上の白内障手術を行う国内有数の施設で、SECを用いた都市部と地方部をつなぐ遠隔診断モデルが確立されました。現地の医療従事者は30分程度のオンライン研修でSECの操作や診断技術を習得し、都市部の専門医と連携しながら地方患者の診断・紹介を効率化しています。ケニアではSECの国際商標も取得し、品質保証や模倣品対策も徹底しています【引用リンク:PR TIMES】【引用リンク:afri-quest】【引用リンク:PR TIMES(医療機器登録)】。
  • ナイジェリア
    ECWA Eye Hospitalと連携し、SECのパイロット実証や共同研究を進めています。現地医療従事者への教育プログラムを展開し、ビジョナリーホールディングスと協力して眼鏡フレームやレンズの寄贈も実施。SECを用いた遠隔診断や啓発活動を通じて、都市部と地方部の医療格差解消に貢献しています【引用リンク:OUI Inc.公式アップデート】。
  • マラウイ
    Blantyre Institute for Community Outreach(BICO)と2019年から共同研究を続けており、SECの国際特許と商標を取得。BICOは人口1,800万人に対し眼科医がわずか14名という厳しい環境下で、SECを活用した農村部での診療や疫学調査、医療従事者の教育を展開しています。2021年にはOUI Inc.とMEGANE TOPが協力し、眼鏡フレーム570本、レンズ1,500枚を寄贈するなど、包括的な視覚ケア支援も実施しています【引用リンク:PR TIMES(マラウイ特許)】【引用リンク:IAPB】【引用リンク:BICO公式】。
  • モザンビーク
    Lúrio大学やEhime大学と連携し、SECを活用した疫学調査や地域医療従事者の教育、啓発活動を展開しています。モザンビークは医療人材不足が深刻な国の一つであり、現地大学や海外大学との連携による研究・教育体制の強化が進んでいます。SECの導入により、地方部でも質の高い眼科診断が可能となり、現地の医療水準向上や人材育成に寄与しています【引用リンク:PubMed(モザンビーク医療教育)】。

このようにOUI Inc.は、各国の医療現場や大学、NGOと密接に協働し、SECの現地適応・普及、医療従事者の育成、知財保護、眼鏡寄贈など多面的なアプローチでアフリカの視覚医療の課題解決に挑んでいます。

事業規模・実績

  • 2024年時点でアフリカを含む世界20カ国以上、150台超のSECが導入済み
  • ケニアでは2021年以降、20台以上のSECを現地医療機関に供給
  • 現地医療従事者・ボランティアへのトレーニング実施数は100名超
  • 年間1万件以上の眼科診断・スクリーニングに活用

OUI Inc.は、2024年時点でアフリカを含む世界20カ国以上にSmart Eye Camera(SEC)を導入し、150台超の機器を現地医療機関やNGOに供給しています。このグローバル展開は、アジア・アフリカ・南米など医療過疎地域を中心に進められており、SECによる眼科診断や遠隔診療モデルの社会実装が急速に広がっています1108

ケニアでは、2021年にSECが医療機器として正式登録されて以降、20台以上の機器がKisii Eye HospitalやGertrude's Children's Hospitalなど複数の主要病院やクリニックに導入されました。これらの医療機関は都市部から地方部まで幅広く分布し、SECを活用した遠隔診断や患者紹介のネットワークが構築されています263。特にKisii Eye Hospitalは年間1万件以上の白内障手術を手掛ける国内有数の施設で、SECによる診断とスクリーニングを組み合わせることで、都市部と地方部の医療格差を埋める役割を果たしています249

現地医療従事者やボランティアへのトレーニングは、オンラインや現地ワークショップを通じて積極的に実施されており、累計で100名以上がSECの操作や基礎的な眼科診断技術を習得しています。トレーニングは約1時間で修了し、非眼科医でも診断や撮影が可能となるため、限られた専門医の負担軽減や現地人材のスキルアップに大きく寄与しています294

こうした取り組みにより、ケニアを中心に年間1万件以上の眼科診断・スクリーニングがSECを通じて実施されており、多くの患者が早期診断・治療につながる体制が整備されました。特に白内障や緑内障、感染症などによる失明リスクの高い患者が、都市部の専門医と連携して適切な治療へとつながる事例が増加しています4610

社会への変化としては、まず「医療アクセスの格差」が大きく縮小しました。SECの導入により、電気や大型機器が使えない農村や医療過疎地域でも、スマートフォンとSECさえあれば眼科診断が可能となり、専門医がいない地域でも初期診断やスクリーニングが実施できるようになりました128。また、現地医療従事者の育成や雇用創出にもつながり、地域医療の質と能力の底上げが進んでいます2410

さらに、遠隔診断モデルによって都市部の専門医が地方の患者を効率的にサポートできるようになり、重症例の早期発見・治療導入が促進されました。これにより、予防可能・治療可能な疾患による失明のリスクが大きく低減し、患者のQOL(生活の質)向上や社会参加の拡大にも貢献しています842

こうした成果は、WHO(世界保健機関)の「Compendium of innovative health technologies for low-resource settings 2024」にも掲載されるなど、国際的にも高い評価を受けています5。OUI Inc.の取り組みは、単なる機器の供給にとどまらず、現地医療従事者の育成・エビデンス構築・遠隔診断体制の確立・国際連携を通じて、アフリカの視覚医療の未来を大きく変えつつあります。

引用リンク:日本眼科学会誌「世界の失明はどうなっているのか」PDF
引用リンク:サークル帝塚山眼科・世界の地域別の失明原因
引用リンク:OUI Inc. Newsletter June 2024(PDF)
引用リンク:アフリカ展開の進捗(PR TIMES)
引用リンク:SECのケニア登録・現地連携(afri-quest)


3.ケニアでの事業展開と遠隔診断モデル

ケニアはOUI Inc.のアフリカ事業の中核拠点です。2021年、SECがケニア保健省の医療機器登録を取得し、現地での本格展開が始まりました。

主要プロジェクト

  • Gertrude's Children's HospitalKisii Eye HospitalCity Eye Hospitalなど都市部の専門医と、地方クリニックや医療スタッフをSECと遠隔診断プラットフォームでつなぐ「ハブ&スポーク」モデルを構築
  • Kisii Eye Hospitalでは、年間1万件以上の白内障手術を実施する現地最大級の眼科病院と連携。SECによる地方部でのスクリーニング・遠隔診断を実証
  • 都市部の眼科医が、地方の医療従事者が撮影した眼画像・動画を受信し、遠隔で診断・指導を実施。診断結果はスマホアプリ経由で即時フィードバック

社会的インパクト・数値

  • ケニアの失明人口は約50万人、視覚障害者は200万人以上(2024年推計)
  • SECの導入により、都市部から200km以上離れた村でも専門医診断が可能に
  • 30分のオンライン研修で非眼科医・看護師・地域ボランティアもSECを活用可能
  • IFC(国際金融公社)のTechEmerge Health East Africaに採択され、現地パートナーや国際機関と連携した持続可能な医療モデルを構築

引用リンク:TechEmerge Health East Africa(IFC公式)
引用リンク:ケニアでの医療機器登録(afri-quest)
引用リンク:AMED支援・現地実装(AMED PDF)
引用リンク:首相官邸(PDF)


4.現地パートナーとの協業・社会実装と知財戦略

OUI Inc.は現地の主要医療機関・NGO・大学・行政と戦略的パートナーシップを結び、SECの社会実装を加速しています。

具体的な協業内容

  • 現地医療従事者へのトレーニング:SECの操作・眼科診断技術は30分程度のオンライン研修で習得可能。非眼科医や看護師、地域ボランティアも活用
  • 疫学研究・AI開発:モザンビークやマラウイなどでSECを用いた地域住民の疫学調査・画像データ蓄積、AIによる白内障・網膜疾患の自動診断アルゴリズム開発
  • 現地登録・知財保護:ケニア・マラウイでSECの商標・特許取得。品質保証や信用保護、模倣品対策を徹底

実績・数値

  • ケニアでのSEC国際商標取得(2023年1月発表)
  • マラウイでのSEC国際特許取得(2023年1月発表)
  • ケニア・マラウイ・モザンビークなどで20台以上のSECを現地導入
  • 現地医療従事者・患者・行政・国際機関を巻き込んだ持続可能なエコシステムを構築

引用リンク:商標・特許取得の発表(PR TIMES)
引用リンク:OUI Inc. Newsletter June 2024(PDF)


5.AI・遠隔診断・エビデンス構築

SECはスマートフォンのカメラ・光源を活用し、前眼部・後眼部の観察が可能なポータブルスリットランプ顕微鏡です。
OUI Inc.はAIによる画像診断アルゴリズム開発を進めており、白内障や網膜疾患の自動診断・重症度判定など、専門医がいなくても診断可能な仕組みを目指しています。

科学的エビデンス・臨床性能

  • SECは既存の細隙灯顕微鏡と同等の診断精度が、動物実験・臨床研究で証明済み
  • ケニア・マラウイ・モザンビークなどでのパイロットプロジェクト・共同研究で、SECの有効性・実用性を検証
  • 国際学会・現地学会での発表・論文化も進行

遠隔診断・AI化の進展

  • SECで撮影した画像・動画をスマホアプリでクラウド共有し、都市部の専門医が遠隔診断
  • 将来的にはAIによる自動診断(白内障、網膜疾患、緑内障など)を目指し、現地医療従事者の負担を大幅軽減

引用リンク:SEC製品紹介(英語)
引用リンク:JSTサイエンスジャーナル
引用リンク:AMED支援・AI開発(PDF)


6.国際機関・日本政府との連携

OUI Inc.のアフリカ事業は、国際金融公社(IFC)、AMED(日本医療研究開発機構)、JICA(国際協力機構)などの支援を受けて展開されています。

主要な連携・支援内容

  • IFCのTechEmerge Health East Africaプロジェクトに採択され、現地パートナーと遠隔診断モデルの構築を推進
  • AMEDやJICAの助成を活用し、現地でのパイロット実証・疫学研究・AI開発・人材育成を多面的に推進
  • ケニア保健省や現地行政、国際NGOとも連携し、SDGsやユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)推進にも貢献

具体的な成果

  • ケニアでのSEC導入・遠隔診断モデルは、WHOやIAPB(国際失明予防機構)でも注目される
  • 日本政府の「アフリカ健康構想」の先進事例として紹介

引用リンク:TechEmerge Health East Africa(IFC公式)
引用リンク:AMED支援(PDF)
引用リンク:日本政府のアフリカ医療協力(首相官邸PDF)


.今後の展望と課題

OUI Inc.は、2025年までに「世界の失明を50%減らす」という目標に向け、アフリカをはじめとする医療過疎地でのSEC普及・AI診断の実装・現地生産体制の検討などを進めています。

今後の具体的戦略

  • SECの現地生産やサプライチェーンの確立(例:ブータンでの現地生産実績あり)
  • AI診断の臨床実装と現地医療従事者のさらなる育成
  • 企業健診や学校健診など予防領域への展開
  • 各国の医療行政・保険制度との連携強化
  • パートナー拡大によるエコシステムの深化

課題と対応

  • インフラ不足や医療人材の流動性、持続可能なビジネスモデル構築が課題
  • 官民・国際連携、現地パートナーとの共創を通じて社会実装を加速

引用リンク:OUI Inc. Newsletter June 2024(PDF)
引用リンク:JSTサイエンスジャーナル
引用リンク:OUI Inc.公式ビジョン

逆輸入の可能性は?

SEC(Smart Eye Camera)は、OUI Inc.の現役眼科専門医が日本と開発途上国の両方で感じた課題を解決するために自ら発案・開発した医療機器であり、日本国内でも既に医療機器として登録・特許取得が進んでいます1345。SECはスマートフォンに装着するだけで、従来の細隙灯顕微鏡と同等の診断が可能で、専用アプリによる画像管理や遠隔診療も実現しています15

実際に、SECは日本国内で医療機器(クラスI)としてPMDA(医薬品医療機器総合機構)等に登録されており、保険診療下での活用や遠隔診療への応用も可能な体制が整っています3。また、動物用医療機器としても正式に登録され、獣医療分野でも活用が始まっています4

アフリカなど海外での実証・普及を通じて、SECの有用性やユーザビリティ、低コスト・高可搬性といった強みが評価されており、今後は日本国内の在宅医療・高齢者施設・離島・へき地医療、さらには災害時の応急診療や学校健診など、これまで眼科専門機器が届かなかった現場での“逆輸入的”な普及が期待されています135

このように、SECはもともと日本の医師が日本の現場課題も見据えて開発したものであり、アフリカ等での社会実装を経て、今後さらに日本国内の眼科診療現場や遠隔医療、一次医療の現場に逆輸入されていく可能性は非常に高いといえます1345

引用リンク:OUI Inc.公式SEC紹介
引用リンク:AMED公開資料(PDF)
引用リンク:PR TIMES(動物用医療機器登録)
引用リンク:トークンエクスプレス連携ニュース


9.まとめ

OUI Inc.は「現場発イノベーション」と「多層的な国際連携」を武器に、アフリカの眼科医療アクセス格差解消に挑んでいます。SECを核とした遠隔診断・AI診断・人材育成・疫学研究など、単なる機器提供にとどまらない社会実装モデルを構築。今後もアフリカの医療課題解決と持続可能な市場創出の両立を目指し、日本発の医療イノベーションの可能性を世界に示し続けます。

引用リンク:OUI Inc.公式サイト(英語)
引用リンク:AMED支援・現地実装(PDF)


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Author
原健太
テーマ日本企業のアフリカ進出アフリカの医療課題
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