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アフリカの医療を支える日本企業の取り組みに迫る

2024.01.08Media

アフリカの医療を支える日本企業の取り組みに迫る

アフリカの医療を支える日本企業の取り組みに迫る

アフリカ大陸では、医療機関へのアクセスの難しさや医療資源の不足が、多くの命に影響を与えていることから、医療インフラの整備が大きな課題となっています。これに対し、日本企業は独自の技術や経験を活かし、アフリカの医療支援に貢献しています。ここでは、日本企業が展開する具体的な取り組みと、その意義について考察していきます。

日本企業の取り組み

日本企業は、アフリカの医療分野においてさまざまな取り組みを行っています。以下に取り上げている日本企業以外にも、たくさんの日本企業が現在アフリカ諸国の医療に貢献しています。今回はその具体例について、幾つか掘り下げて紹介していきます。

富士フイルム社の取り組み

2023年6月、富士フイルム南アフリカ社とその代理店は、ナミビアの公立病院5施設に画像保存通信システム(PACS)と放射線情報システム(RIS)を導入し、病院間でのデータ共有を効率化させています。
また、同社は2023年2月には、南アフリカ共和国ヨハネスブルクにテクノロジーセンターを開設しました。この施設では、医療機器や印刷機器の展示・実演が行われ、現地の医療従事者への技術支援が強化されています。
それ以外にも富士フイルム社は、アフリカでの医療サービス向上を目指し、2019年8月に横浜で開催された第7回アフリカ開発会議(TICAD7)に出展し、自社の取り組みを紹介しました。

※参照URL:https://holdings.fujifilm.com/ja/sustainability/activity/health/priority-issue-2?utmsource=chatgpt.com
※参照URL:https://www.jetro.go.jp/biznews/2023/07/facb248329363834.html?utmsource=chatgpt.com
※参照URL:https://www.jetro.go.jp/biznews/2023/03/ee95f37f65a47ef7.html?utm_source=chatgpt.com

オリンパス社の取り組み

オリンパス社ではアフリカの新興国において、内視鏡技術の普及と医師の育成を支援しています。
特にケニアでは、日本の医療機関と協力し、現地医師向けの研修事業を実施し、内視鏡の操作方法や診断技術の指導を行っています。
また、2017年4月、オリンパス社はアラブ首長国連邦のドバイに「Olympus MEA FZ-LLC」を設立し、中東・アフリカ地域の事業を統括しています。これにより、現地の医療機関への迅速な製品供給やサービス提供が可能となり、医療インフラが強化されるようになりました。
その他にも、オリンパス社は、欧州・中東・アフリカ(EMEA)地域で、がん予防と早期発見の重要性を啓発する活動を展開しています。
このように、社内外での大腸がん予防の意識向上を目的とした取り組みを実施し、アフリカ諸国も含めた多くの地域社会の健康促進に寄与しています。

※参照URL:https://www.olympus.co.jp/news/2016/nr161107omeaj.html?utmsource=chatgpt.com
※参照URL:https://www.olympus.co.jp/csr/social/cooperation/?utmsource=chatgpt.com
※参照URL:https://www.olympus.co.jp/csr/social/impact/emea/?page=csr&utm_source=chatgpt.com

NEC社の取り組み

2019年、NEC社はGaviワクチンアライアンス(※1)およびSimprints(※2)と覚書を締結し、途上国の予防接種率向上を目的とした生体認証技術の活用を進めています。 この取り組みの特徴は、何と言っても幼児の指紋認証技術を採用していることです。
NEC社が提供している「Bio-IDiom(バイオイディオム)」と呼ばれる、顔、虹彩、指紋・掌紋、指静脈、声、耳音響などの生体認証システムを活用し、より多くの子どもたちにワクチンを届けられるように、ワクチン接種の管理と公平な配布に貢献しています。
また、NEC社は味の素ファンデーション社(本社:東京都)、シスメックス社(本社:兵庫県)と協力し、ガーナ共和国における母子の保健および栄養改善を目指す共創プロジェクトを開始しています。
このプロジェクトは、2019年8月に開催された第7回アフリカ開発会議(TICAD7)で提唱された「ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)拡大」と「アフリカ健康構想(AfHWIN)」の実現を目的とし、日本とガーナが締結した協力覚書に基づいています。
プロジェクトでは、官民および異業種の連携を通じて、ガーナにおける母子保健の向上と栄養状態の改善を目指します。
ガーナでは、栄養失調が主要な健康課題となっており、胎児や乳幼児の発育阻害やマラリアの重症化リスクを引き起こす貧血の原因ともなっています。
特に5歳未満の子どもや妊婦にとって、これらの課題は深刻で、包括的なアプローチが求められています。そのため、本プロジェクトでは、さらにこれを発展させ、日本のICT技術と高品質な検査を組み合わせることで、母子栄養改善を加速させる仕組みを構築していく試みになっています。

※1 Gavi, the Vaccine Alliance(Gaviワクチン・アライアンス) :世界中の子どもや人々を予防接種によって感染症から守ることを目的とした国際的な組織です。企業ではなく非営利団体としての性質を持ち、1999年に設立されました。
Gavi, the Vaccine Alliance
※2 Simprints:ケンブリッジ大学発の非営利技術企業で、政府、NGO、非営利団体と連携し、法的な身分証明を持たない低・中所得国の人々に対し、生体認証技術を提供しています。
Simprints - Wikipedia

※参照URL:生体認証: ソリューション・サービス | NEC
※参照URL:味の素ファンデーション、シスメックス、NEC、ガーナ共和国の母子の保健と栄養の改善を目指し、異業種の共創プロジェクトを開始
※参照URL:世界同盟Gavi、NEC、英Simprintsが途上国の予防接種率向上に向けた生体認証活用で覚書を締結

ソフトバンク社の取り組み

2020年、ルワンダ政府は新型コロナウイルス対策として、ソフトバンクの医療用ロボットを基にして開発されたロボットを5台導入し、実際の医療サービスに活用しています。
今回導入されたロボットは、ソフトバンクロボティクス社が設計したヒューマノイドロボット「Nao」を基に、ベルギーのZoraBots社が開発したロボットです。
ロボットは患者の体温測定や、マスク未着用者への警告などを行う機能を持っており、実際にコロナ患者のケアにあたっています。
ロボット導入後、ルワンダでは現在までに新型コロナウイルス感染者数は308人が確認されていますが、死者は報告されていません。これにより、医療従事者と患者との接触を減らし、感染拡大の抑制に成功していることが証明されています。
また、アフリカの教育環境改善を通じた医療人材育成にも取り組んでいます。現在ソフトバンク社は、ルワンダの大統領が先導し、アフリカ大陸38カ国と世界的企業が加盟する「Smart Africa」のボードメンバーになっています。
そのプロジェクトの一環として、ソフトバンク社はHAPSなどの通信技術を活用したアフリカのデジタル化を推進しています。
ソフトバンク社によれば、今後はアフリカの郊外や地方に通信手段を提供し、教育の質を向上させることで、将来的な医療人材の育成を支援していくそうです。
 特に、ルワンダの地方学校に衛星アンテナを設置し、通信環境を整備することで、教育格差の解消に取り組んでいくという展望を持っています。

※参照URL:医療用ロボット、アフリカで新型コロナ対策に活躍-患者との接触低減 - Bloomberg
※参照URL:アフリカの貧困地域に通信手段を。産業を支える人材育成とデジタルデバイド解消への挑戦|SoftBank SDGs Actions #22 - ITをもっと身近に。ソフトバンクニュース

アステラス製薬社の取り組み

アステラス製薬社は、住血吸虫症治療薬の開発と供給に取り組んでいます。小児用プラジカンテル・コンソーシアム(※3)の一員として、就学前児童(生後3カ月から6歳まで)の住血吸虫症治療薬「arpraziquantel」の開発に貢献しています。 
この薬剤は欧州医薬品庁(EMA)から肯定的な科学的見解を受けており、ケニアのUniversal Corporation Ltd.との提携により、アフリカ諸国での大規模な現地生産体制の構築を進めています。
また、アステラス製薬社は産科フィスチュラ(※4)患者支援プログラム「Action on Fistula」の推進に取り組んでいます。
「Action on Fistula」とはアステラス製薬社が泌尿器疾患領域を対象として、2014年から3年間で150万ユーロの資金を提供しているプログラムです。
このプログラムによって、ケニアではフィスチュラ担当外科医や手術件数も大幅に増加しており、これまでに1,200名以上の患者が手術により完治しています。
これ以外にも、アステラス製薬社では、アステラス・グローバルヘルス財団を設立し、ケニアでのメンタルヘルスサービスへのアクセス向上、セネガルでの子どもたちの医療アクセス拡大、ウガンダでの難民に対するメンタルヘルスおよび心理社会的支援の改善など、アフリカ各国での医療アクセス向上に取り組んでいます。

※3 小児用プラジカンテル・コンソーシアム(Pediatric Praziquantel Consortium):住血吸虫症(Schistosomiasis)に苦しむ小児患者、特に就学前児童(生後3カ月~6歳)を対象にした治療薬の研究開発と普及を目的とする国際的なパートナーシップです。このコンソーシアムは、官民連携のモデルとして、製薬会社、非営利団体、学術機関、政府機関などが協力して活動しています。Pediatric Praziquantel Consortium
※4 産科フィスチュラ:出産時に新生児の頭が産道を圧迫して膣や膀胱、直腸に穴が開く合併症です。長時間分娩が進まず、赤ちゃんの頭が骨盤を圧迫し続けることで、膣やその周りの組織が壊死し、膀胱や直腸と膣が繋がってしまうため、 失禁などの症状が起き、社会的な偏見へとつながる場合もあります。5月23日 産科フィスチュラ撲滅国際デー
※参照URL:arpraziquantel 就学期前児童における住血吸虫症の治療薬としてEMAから肯定的な科学的見解を受領
※参照URL:世界的イニシアチブに参画!アステラス製薬、開発国における保健医療へのアクセス向上にコミット! - Africa Quest.com
※参照URL:アステラス・グローバルヘルス財団

武田製薬社の取り組み

武田製薬社は、2016年より、アフリカ最大の国際非政府組織であるAmrefヘルス・アフリカと連携し、保健システムの強化に取り組んでいます。 アフリカ諸国では「癌(がん)」という単語が存在しないことからも分かるように、がんに対する知識や教育が遅れています。
そのため、武田製薬社ではがん治療へのアクセス改善や健康水準の向上を目指し、ケニアのナイロビをオンコロジー領域の「センター・オブ・エクセレンス」として確立する活動を進めています。
取り組みの一環としてCancer Allianceを設立し、アフリカの保健医療サービスの最大60%を提供する民間セクターの招集に貢献しました。
Cancer Allianceは、アフリカのがんケア向上の障壁に取り組む業界連合であり、招集された民間企業は、セクターや業界の枠を越えてがん治療のために協力しあっています。
また、武田製薬社は2010年3月、「世界エイズ・結核・マラリア対策基金」(グローバルファンド)を通じてアフリカにおける保健医療人材の育成・強化を図る寄付プログラム「タケダ・イニシアティブ」を立ち上げました。
このプログラムは、三大感染症(エイズ、結核、マラリア)の蔓延防止と保健システムの強化を支援するものであり、2010年から2019年までの10年間、世界エイズ・結核・マラリア対策基金(グローバルファンド)を通じ、ケニア、タンザニア、ナイジェリアの保健医療人材の育成・強化を目的に、年間1億円の寄付を行いました。 
それ以外にも、2023年9月、タケダは5つの新たなグローバルCSRパートナーシップに3,000万ドル超を投じ、92か国での健康推進に寄与することを発表しました。 これにより、アフリカ諸国を含む地域での医療従事者の育成や医療サービスの提供を支援しています。

※参照URL:Amrefヘルス・アフリカとの戦略的パートナーシップ | 武田薬品
※参照URL:タケダ・イニシアティブ | CSR | 武田薬品
※参照URL:武田薬品、3,000万ドル超を5つの新しいグローバルCSRパートナーシップに投じ、92か国の健康推進へ寄与 | Business Wire

まとめ

日本企業は、アフリカ諸国における医療課題の解決と持続可能な医療環境の構築に向けて、さまざまな取り組みを展開しています。
これらの活動は、最新技術を活用した医療サービスの提供、医療従事者の教育支援、そして地域の保健システムの強化を目指した官民連携プロジェクトを通じて行われています。
例えば、富士フイルム、オリンパス、NEC、ソフトバンクなど日本を代表するような日本企業も積極的にアフリカ諸国の医療サービス改善に取り組みを何年も続けています。
それ以外にも、武田薬品工業は、Amrefヘルス・アフリカと連携し、ケニアにおけるがん治療のアクセス改善を目指す「Cancer Alliance」を設立しました。
一方、アステラス製薬は、小児用住血吸虫症治療薬の開発やケニアでの産科フィスチュラ患者支援プログラム「Action on Fistula」を通じ、母子保健や感染症治療の強化を進めています。
これらの取り組みは、日本の高度な技術と知見を活かし、アフリカの医療課題に直接的なインパクトを与えると同時に、国際社会の一員としてSDGs(持続可能な開発目標)達成への貢献を目指し、今後もアフリカ諸国の医療サービスに貢献していくと考えらます。

ライター紹介
増田さなえ
米国ピッツバーグ州立大学卒業後、セントマシュー医科大学とウィンザー医科大学に進み医学博士取得、救急医師として、米国やカリブ海の医療に従事する。2014年に出産のため休職し、ウェブライターを始める。2014年からカリブ海の救急医として2019年まで働く。2020年からは米国に戻りウェブライター専門で活動中。

お問い合わせ

この記事に関するお問い合わせや、アフリカビジネスに関するご相談は、Email [info@aa-healthdynamics.com]までお気軽にどうぞ!

Author
増田さなえ
テーマ日本企業のアフリカ進出
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