
アフリカの中でも現在も経済成長と医療需要が高まるケニアは、日本企業にとって魅力的な医療機器市場です。しかし、現地での販売許可を手に入れるには、厳格な認証手続きが必要です。本記事では、ケニアで医療機器認証を取得するための具体的なステップと成功のポイントを分かりやすく解説いたします。
ケニアでの医療機器認証を取るにはどうしたらいいのかの前に、そもそもどうしてケニア市場に日本企業が入り込む必要があるのでしょうか。ここでは、そのメリットをお伝えします。
ケニアはサブサハラ・アフリカで最も急速に成長している医療機器市場の一つとされています。都市化の進展、人口増加、非感染性疾患の増加により、医療機器の需要が高まっています。特に、ナイロビやモンバサなどの都市部では、大きな国立病院もあり、毎日数多くの患者さんたちが来院されるため、高度な医療機器への需要が顕著です。また、現在のケニアの医療機器市場は輸入に大きく依存しており、国内の製造能力は限られています。
このため、日本企業も含め海外メーカーにとっては大きな市場を開拓するチャンスと考えられます。特に日本の医療機器の中でも、診断機器、患者モニタリングシステム、体外診断(IVD)などの分野での需要はかなり高まっています。

ケニア政府は「Vision 2030(※1)」などの国家戦略の下、医療インフラの近代化を推進しています。例えば、Managed Equipment Services(※2)(MES)プログラムを通じて、全国の病院に新しい医療機器を導入しています。
このEMSプログラムでは、ケニア政府は国内の医療サービス施設に対し、医療機器の供給、設置、保守、医療スタッフのトレーニングを含むサービスを提供するため、民間企業と契約を結びました。
支払いは、各県の予算から年間約9,500万ケニアシリング(約1億円)を差し引く形で行われています。これからも分かるように、近年ますます医療機器の需要が拡大しています。
2023年にこのEMSプログラムは終了し、その後は「National Equipment Support Program(NESP)」として再構築しています。
また、ケニアは東アフリカ共同体(EAC)の中心国として、周辺国への医療機器の供給拠点となっています。ケニアの首都ナイロビでは、医療機器の輸入・流通のハブとしての役割を果たしており、地域全体への展開を目指す企業にとって戦略的な拠点となっていることからも、ケニア市場が期待される要因になっています。
※1:ケニアの「Vision 2030」は、2008年に発表された長期的な国家開発計画であり、2030年までにケニアを「新興工業国」かつ「中所得国」へと変革し、すべての国民に高品質な生活を提供することを目指しています。このビジョンは、経済、社会、政治の3つの柱を中心に構成されており、各分野での持続可能な成長と改革を推進しています。(Kenya Vision 2030)
※2:ケニアの「Managed Equipment Services(MES)プログラム」は、2015年に開始された官民連携(PPP)による医療機器リース事業で、全国の公立病院に先進的な医療機器を提供し、保守・運用・トレーニングを含む包括的なサービスを提供することを目的としたプログラムです。契約企業はGeneral Electric(米国)、Philips(オランダ)、Bellco(イタリア)、Mindray(中国)、Esteem Industries(インド)など6社と契約しています。8 Facts on the Medical Equipment Leasing Project in Kenya
※参照URL:2021 Kenya Medical Devices eHealth
※参照URL:Kenya - Healthcare - Medical Devices
※参照URL:A Medtech Case Study: Kenya's Medical Equipment Market. - Jaza Rift

ケニアにおける医療機器の認証制度は「Pharmacy and Poisons Board(PPB)」という機関が管理しております。PPBでは医療機器の安全性、有効性、品質を確保し、公共の健康を守ることを目的として行われ、「Pharmacy and Poisons Act(Cap 244)」に基づいて運用されています。ここでは、実際にどのように認証されるのかをお伝えします。
PPBは、ケニア保健省の下部機関として、医薬品、医療機器、体外診断用医薬品(IVD)などの規制を担当する管轄機関です。主な役割は以下のようになります。
※参照URL:Pharmacy and Poisons Board
※参照URL:Regulatory Functions - Pharmacy and Poisons Board
※参照URL:About Us - Pharmacy and Poisons Board
※参照URL:infotradekenya.go.ke+4

ケニアにおける医療機器の規制は「Pharmacy and Poisons Board(PPB)」が主導し、「Pharmacy and Poisons Act(Cap 244)」に基づいて運用されています。この法的枠組みは、医療機器の安全性、有効性、品質を確保し、公共の健康を守ることを目的としています。
この法律は、医薬品および医療機器の製造、輸入、販売、使用を規制する基本法であり、PPBの設立とその権限を定めています。ケニア国内での医療機器の登録、品質管理、市場監視などは、この法律に基づいて行われます。
PPBは、医療機器および体外診断用医薬品(IVD)の登録に関する詳細なガイドラインを提供しています。医療サービス全体を管理する機関ですので、医歯薬に関する全てのガイドラインを制定しています。また、このガイドラインでは、医療機器のリスク分類、登録手続き、必要書類、評価プロセスなどが明確に示されています。
クラスA(低リスク)
クラスB(低〜中リスク)
クラスC(中〜高リスク)
クラスD(高リスク)
各クラスに応じて、申請者は異なるレベルの技術文書や臨床データを提出する必要があります。また、一度認証されれば良いというわけではなく、5年に一度更新しなければいけません。
それでは、実際にどのような手順を踏んで認証手続きを行うのか説明していきます。
医療機器の登録手続きは、PPBのオンラインポータル(PRIMS)を通じて行われます。申請者は、以下のステップを踏む必要があります:
※有効期限は5年から3年など随時政府により変更されますので、申請時の有効期限を確かめてください(2025年時点)
なお、クラスAの医療機器はリスト登録のみで済みます。クラスB以上の機器は詳細な審査が必要ですので、認証を申請する際には注意が必要です。
※参照URL:PPB公式サイト:Pharmacy and Poisons Board
※参照URL:医療機器登録ガイドライン:https://web.pharmacyboardkenya.org/download/guidelines-for-registration-of-medical-devices-including-in-vitro-diagnostics/
※参照URL:登録済み医療機器の変更通知ガイドライン:https://web.pharmacyboardkenya.org/download/guidelines-on-change-notification-for-registered-medical-devices-including-in-vitro-diagnostics/
※参照URL:THE COMPANIES ACT THE COMPANIES (GENERAL) REGULATIONS, 2015

海外の製造業者がケニアで医療機器を登録する際には、「現地代理人(LAR)」の任命が必要です。LARは、以下の要件を満たす必要があります:
※1:LARの探し方は次の項で説明しています。
申請者は、PPBのオンラインポータル(PRIMS)にアクセスし、以下の情報を入力してアカウントを作成します:
アカウント作成後、申請者は必要な書類をアップロードし、申請手続きを進めます。
申請には、以下の書類の提出が求められます:
これらの書類は、製品のリスククラスや申請の種類によって異なる場合があります。
PPBは、提出された申請書類を基に技術的評価を行います。評価には以下のプロセスが含まれます:
※評価の結果、追加情報の提出が求められることがあります。承認までの所要期間は、製品のリスククラスや申請内容によって異なり、通常2〜6か月とされています。
申請が承認されると、PPBから登録証が発行されます。登録証の有効期間は3年間であり、期限が近づいた際には更新手続きを行う必要があります。更新には以下の手続きが含まれます:
※更新手続きの詳細やタイムラインについては、PPBの公式ウェブサイトで確認できます。
※参照URL:Pharmacy and Poisons Board
※参照URL:医療機器評価および登録手続き:Medical Devices Evaluation and Registration Procedure - Pharmacy and Poisons Board
※参照URL:医療機器登録ガイドライン:Guidelines for Registration of Medical Devices Including In-Vitro Diagnostics - Pharmacy and Poisons Board
※参照URL:PRIMSポータル:PPB IMS Version 3.1
ケニアの医療機器認証において現地代理人(Local Authorized Representative: LAR)として登録されている日本企業に、AA Health Dynamics株式会社 があります。同社は、2022年5月に設立された日本のスタートアップ企業で、アフリカの医療課題解決を目指し、医療教育、事業開発支援、人材育成を中心に多角的な事業を展開しています。正式にLARに認定された日本の企業であるため、ケニア国内での医療機器ディストリビューターを探す必要もなく、ケニア国内の業者に貴社を通じて直接取引交渉が可能です。ケニア、南アフリカに関連法人を持ち、それらを通じて、現地での医療トレーニングや医療機器のマーケティング支援を行い、アフリカの医療水準の向上に貢献しています。

すでに医療機器の販売・流通を行っている現地ディストリビューターは、LAR業務を代行していることが多いです。
そのため、以下のような業者を対象に、問い合わせてみるのも良いでしょう。
・ナイロビ拠点の医療商社・輸入代行・通関業務を行う業者
・現地病院・クリニックへの納入実績がある企業
PPBの公式サイトまたはオンライン登録システム(PRIMS)には、登録済み業者のリストがあります。その中から何件かピックアップして連絡するのもいいでしょう。そのリストでは、過去に申請をパスできているLARとして信頼性があるため、LAR候補としては有力です。
※参照URL:PPBポータル:https://prims.pharmacyboardkenya.org/
「Kenya Medical Expo」や「Medic East Africa」など、ケニアや東アフリカの医療展示会では、現地LARとして活動する企業が出展しています。そこで、対面で契約内容やサポート体制を確認することができます。また、費用や医療機器認証に関する合意がその場で取れれば、そのまま契約することも可能です。
ケニアの公用語は英語になっていますが、クセが強く英語を話せる方でも中々交渉をするのに困難な場合があります。その場合には、日本大使館やJETROナイロビ事務所に連絡してみるのもいい方法かもしれません。医療・ヘルスケア分野に明るい現地日本企業ネットワークを紹介してくれる場合があります。また、大使館やJETROならば信頼性が高く、日本語で相談できる利点もあります。
例として、LAR業務を請け負う実績のある企業(確認時点の参考):
ケニア国内には、LARだと語り、手数料だけをだまし取るような悪徳業者も存在しています。特に日本企業は優秀であり値段交渉などもあまりせず、言い値で受けてしまうと評判がありますので、以下の項目をよくリサーチしLARを探してください。
ケニアは医療需要が拡大する成長市場であり、現在注目されていますが、医療機器の輸入にはPharmacy and Poisons Board(PPB)による認証取得が必要です。
認証には、現地法人であるLAR(Local Authorized Representative)の任命、PPBオンラインポータルへの申請、製品マニュアルやISO13485などの書類提出、技術的評価、そして登録証の取得という一連のステップが求められます。
また、医療機器はリスクに応じてClass A〜Dに分類され、クラスが高いほど審査は厳格になります。
認証取得後は3年間の有効期間があり、更新も必要です。そのため、ケニア市場への参入には、現地事情への理解と信頼できるLARの確保が成功の鍵となります。
AA Health Dynamicsは、アフリカ市場における進出支援・事業伴走・現地連携構築の専門家集団です。 日立製作所のような大手の戦略を中小企業向けにカスタマイズし、実行可能なビジネスモデルの設計・検証・現地実装を一貫してご支援します。
📩 ご相談・ご質問はこちらから: ▶︎ https://aa-healthdynamics.com/contact